情報社会の闇を暴いたスノーデン氏の勇気
オリバー・ストーン監督の映画「スノーデン」を観た。名古屋パルコの8階にあるセンチュリーに行くのは初めてであった。この映画のことを知ったのは、たまたま見たNHKアサイチであった。それでぜひ見たいと思っていたのだ。
率直な感想は難しい映画で、字幕を追いながら英語の音も聞き、ストーリーの展開を必死に理解しようとした。2時間半の映画を観終わったら疲れてしまった。
でも、この映画は必見の映画だと思った。それは我々が日常的に使い、今や高齢者も使っているインターネットだが、その裏でとんでもない恐ろしいことが行われているということが暴露されるからだ。
アメリカ国家安全保障局の職員エドワード・スノーデンが、アメリカ政府が秘密裡に構築した国際監視プログラム(それにはスノーデンも大きくこうけんしているのだが)を、イギリスのガーディアン誌を通じて暴露するのだ。
彼は国を愛する平凡な若者であった。そしてIT技術に非常にすぐれた才能を持っていた。それを買われて情報機関に採用されたのだ。
テロを防ぐという目的で、世界から情報を集めるシステムを構築し、情報を分析することに誇りを持っていた。しかし、彼はテロを防ぐだけでなく、世界各国の全ての情報、米国民の情報も全て監視されていることに気づき、危機感を募らせていくのだ。
オリバー・ストーン監督は、彼の恋人との関係を横糸にしながら、巧みにストーリーを展開させている。彼が恋人とセックスをしているのを、ノートパソコンのカメラが遠隔操作されて捉えられているシーンもある。
つまり、我々が使っているパソコンについているカメラまで、誰かに操作されているかもしれないのだ。
映画はガーディアン誌に情報を提供する香港のホテルの場面が、同時進行でちょくちょく現れる。そのときスマホなども全て預けている。便利なスマホもどこで誰が監視しているかわからないのだ。
スノーデンは、日本にも滞在し、発電所やダムや情報網など大事なインフラに秘密の物を仕掛ける。もし日本がアメリカに背いた場合はたちどころに爆破するというのだ。
オリバー・ストーン監督は、スノーデンに直接会って聞いた話を、全て使って映画をつくったのだそうだ
プロデューサーを通じてスノーデンの弁護士の依頼を受け、モスクワに滞在している本人と会ったことでが然意欲が沸いたという。
オリバー・ストーンは次のように語っている。
「最初は互いに警戒心があったのか、映画にしたいという話にはならなかったけれど、彼が発したいくつかの言葉が興味をひいた。彼の協力を得られれば、内部の者から見た物語をつくれるのではないかと感じたんだ。グレンの書いた本は、あくまでジャーナリストからの視点で、インサイダーの視点から見た人は今までいなかった。彼とは計9回も会ってお互いを信頼できたから、この映画には誰も聞いたことがない情報も入っている」
インサイダーの視点から描いたというのだ。確かにそう描かれている。だから臨場感をもって観客を引きつける。
「彼もディテールが正確だと言ってくれたし、すごく知的なスリラーに仕上がったと自負している。NSAの内部にいる人なら分かるはずだから、驚いたはずだ。彼が言ったことはすべて真実だと信じている。もし、ウソをついているとしたら彼は最高の役者だよ」
私はスノーデンは素晴らしい人間だと評価する。自分の人生をかけてよく思い切ってやったものだ。ヨーロッパでは彼は評価されているという。
しかし、池上氏が言っていたように、今もなお全世界ではこのような情報監視が行われているのだ。オバマ元大統領はこうしたやり方を見直したが、トランプ政権ならもっと強化されるであろう。
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たまたま今朝の中日新聞の8面に彼(スノーデン)の語った真実を映画にという見出しで、オリバー・
ストーン監督へのインタビュー記事が掲載されていた。その中で彼は注目すべき発言をしているのが気になったので引用する。「トランプに対するヒステリックな報道は、冷戦時代の赤狩りのようだ。ロシアとの繋がりのあるような報道も、彼を大統領にしたくない力が働いたのだと思う。トランプは主要メディアに対して新しい見方をしているのは確かだ。」と断定する。(後略)こうなると何を信用していいかさっぱり分からない。一つだけ言えることは人は自分の利益を第一に考えて行動していることだけは確かなようだ。具体的に言うとアメリカファーストでも都民ファーストでもなく、まず自分ファーストありきなのだ。
投稿: toshi | 2017年2月 2日 (木) 08時56分