榊原温泉と津への旅行―③―植木等展、地底の楽園?、梅
次の日は、朝6時5分に目が覚めた。他の連中はまだ寝ていた。すぐに浴場に行って顔や頭をきれいにした。たった1人の浴槽につかりリラックスした。廊下でがらばらで風呂に来る連中と会った。
朝食は7時半。女性が呼びに来た。しばらくしてから行くともう食べ始めていた。朝食の後、SK君がコーヒーを飲みたいと言った。幹事のS君が、「コーヒーは含まれている筈だ」と言い、仲居さんを呼んで聞いたら含まれていないと言った。それで注文をした。Sくんはおかしい、おかしいと言っていた。
朝食後駅までバスで送ってもらい、近鉄でつに向かった。津はIさんの地元なので今日の日程は全て彼女任せであった。
まず2年前にできたMieMuという県立博物館にタクシーに分乗して行った。現地には後から行った私たちの方が早く着いて料金は730円であった。先に出た方は途中の交差点で右折したので遅く着き、料金が何と980円であった。250円も差があったのでびっくりした。
MieMuでは3月末まで「植木等展」をやっていた。それを見るのが目的であった。入場料は800円であった。
MieMuに入ると、巨大な象の骨格を展示してあった。模造品だと思って説明を読んだら、「三重象」という本邦最大の象の化石だと書いてあった。こんな大きな象が日本にいたなんて信じられなかった。
展覧会にはさまざまなポスターやテレビ、映画のシナリオ、レコードのジャケットなどが展示してあり、ところどころにモニターで小松政夫、所ジョージ、大林宣夫などが植木等について語るブースが設けてあった。
私が興味深く感じたのは、植木等の父親についてであった。父親は職業を転々とした後西光という信州の寺で得度をして僧侶になった。戦前に労働運動や部落解放運動にたずさわり、また、戦争反対や平和を願っていた。「戦争は集団殺人だから絶対に死ぬな。できるなら空いても殺すな」と檀家の若者に説いたという。それで治安維持法違反で検挙されてしまうのだ。そのため植木ら家族の生活は困窮を極めたようだ。
「等」という名は平等を願ってつけたものだと言う。植木等の名にそういうエピソードがあるのを初めてしった。もしお父さんが今生きていたら、「共謀罪」や「安保法制」に反対をしただろうと想像した。
あの大ヒットした「スーダラ節」を植木等は歌いたくなかったという。やけくそに歌ったのがOKになったそうだ。父親は「親鸞の教え―⑦善人なおもて往生す。いわんや悪人おや―にあっている」と言ったそうだ。
驚いたのは、「無責任男」が大ヒットすると、それ以後の作品には全て題名に「無責任」が入れられていることであった。当時の映画ビジネスのあり方が分かり面白い。
植木等は酒もたばこも飲まず、真面目な人であったことを初めて知った。演技での見かけとは真逆の人であったのだ。
MieMuを見た後迎えのバスに乗って、久居の近くの「磨洞温泉 涼風荘」昼食を食べに行った。そこは地底の洞窟の中にあるレストランであった。むかし磨き砂を掘ったところの洞穴を利用しているのだそうが。土がむき出しの所もあった。
ランチメニューは、バーベキューで網の上でプロパンガスで焼いて食べるのだ。一人分は牛肉の小さなのが3切れ、鶏肉の小さいのが2つ、あさりが7個ぐらい、ピーマンが半分、タマネギが1/4.。あとはご飯だけ。味噌汁がるとよいと思ったがなかった。それで何と2500円であった。何とも法外な料金だと思った。洞窟の中に入る入場料が1800円ぐらいというところか。
パンフレットのうたい文句は「地底の楽園」となっている。でも、料理の質と料金から見る限りとても楽園ではない。Sさんだったか、「地獄の楽園」と言っていたがその方がふさわしい。
ランチのあとバスで送ってもらい、結城寺に行った。しだれ梅で有名だそうであった。残念ながらまだほとんど咲いていなかった。入園料の500円はもったいないので、外にある早や咲の梅を見て終わりにした。結城神社の隣には津八幡社という神社があり珍しいと思った。
津駅までは三重交通のバスがあった。有難いことにマナカを使うことができた。津駅に着くとコーヒーを飲んだが、Iさんが奢ってくれた。また大阪のS君がまんじゅうを買ってkれた。幹事のS君は缶ビール代をもってくれた。
感心したのは、S君は昨年10月に胃癌で胃の2/3を取ってしまったのだが、もう酒は飲むし、食事もするし、元気に旅行の世話をしてくれたことであった。
また、公園の花壇造りのボランティアをしている人、学校などの剪定をしている人、高齢者の話し相手のボランチあをしている人、高齢者のダンス教師をしている人、歩きながらゴミ拾いを続けている人など多彩な社会貢献を元気にやっているので勇気をもらった。本当に良い旅行であった。
三重象化石
洞窟入口
高くて粗末な料理
洞窟レストラン
結城神社
しだれ梅
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