面白かった「オケ老人」
「オケ老人」という映画が人気が出ているとニュースで読んだのでミリオン座へ観にいった。
映画はオーケストラのステージの終わりの画面から始まる。主演の杏が扮する高校数学教師の小山千鶴が、梅が岡フィルの素晴らしい演奏に感動する場面だ。千鶴は家に帰って、自分もオーケストラに入りたいと思う。千鶴は学生時代にバイオリンでオーケストラに参加していた経験があり、人生を豊かにするためにもう一度やりたいと思ったのだ。ネットで調べて電話をすると梅が岡交響楽団の指揮者の野々村(笹野高史)が直ぐに採用すると言う。
千鶴がオーケストラの練習会場に行くと、10名ほどの老人ばかりの団員たちが「威風堂々」を練習していた。しかし、その演奏はてんでバラバラで、とんでもないものであった。指揮者を見ないし、一日に1ページほどしか進まないのだ。
千鶴はがっかりする。千鶴が感動し、入りたかったのは、梅が岡フィルハーモニーであったのだ。梅フィルは、梅が岡交響楽団から若い優秀な団員たちが抜けて作ったものだということが、映画の中で分かる場面がある。残ったのは老人たちばかりであった。
梅響で指揮者の野々村が病となり、千鶴が指揮を任される。でも、千鶴は何度か抜けようとする。梅フィルの募集で一旦は梅フィルい入ることができるが、結局ついて行けず、首を言い渡される。
千鶴は考えを改め、梅が岡交響楽団をまとめようと努力するようになる。その過程で後輩の若い教師坂下君(坂口健太郎)に恋愛感情を抱く。その恋の指導を生徒の野々村指揮者の孫和音(黒島結奈)がしたりする。その和音は天敵の梅フィルのコンマス大沢義郎(光石研)の息子 コーイチ(萩原利久)と恋愛関係である。電気製品の修理の店を持つ野々村は大沢とは商売でも敵対関係にある。
そんな中でフランスから、世界的指揮者のフィリップ・ローマン(フィリップ・エマール)が梅フィルにやってくる。それで、千鶴はローマンの指揮する演奏で出たいと練習に励んだのだが叶わなかったのだ。
そのローマンが壊れたラジカセを持って野々村の店に現れ、野々村はそれを直した。それでローマンと梅響の関係ができるのだ。
映画の1/3ほどまでは、退屈で面白くないが、次第に話が展開し面白くなった。千鶴の変化やオーケストラの老人たちとの関わり、二つの恋愛を織り込んで物語は広がる。学生時代にオケの経験があったとはいえ、指揮の経験のない千鶴が指導をし、ハチャメチャだった老人オケを見事に成長させるとか、団員が若い人も含め大幅に増えるとか、そんなことアリ・と思うようなところもあるが、それは物語だからと割り切るよりない。
俳優たちが楽器の演奏をどのようにやるのか興味深く見ていたが、上手に扱っていた。音はそれぞれに多くの演奏者が作ってアテレコをしたのだ。
最後に劇的に盛り上がることと千鶴の恋の意外な終局などがあって楽しめる映画になっている。世の中には、老人だけの合唱団とかオーケストラがあるが、老人がいつまでも輝て生きていくことの大切さを描いたよい映画だと思う。
原作は、荒木源氏の「オケ老人」で、監督は、細川徹。杏に音楽の素養があるのかどうか知らないが、初主演で好演であった。笹野高史も存在感があったし、坂口健太郎もはまっていた。
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