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2016年12月17日 (土)

「騙される側も悪い」という伊丹万作氏の言葉にうなずく

 Tさんが送ってくれた12月9日の日刊ゲンダイの記事「この国の民主主義は死んでいるのか。安倍内閣支持率60%の謎」の中で、政治評論家の森田実氏がつぎのように言っている。

 「国民が目先のことしか考えない、近視眼的な思考になっているのでしょう。背景には『もうかればいい』という拝金主義、新自由主義が、政財界、メディアに至るまで隅々に浸透していることがあると思います。

 例えば、刑法で禁止されたバクチであるカジノ法案が成立すればどんな悲劇を招くか――などと考えず、政府・与党が喧伝する『経済効果』ばかりに目が向いている。日本の政治や将来はどうあるべきか、という大局的視点に立って物事を見ない。だから、安倍政権が耳当たりのいいことを訴えるほど、支持してしまうのです」

 この後に次の記事が続く。端的に言うと、国民が「思考停止」状態になっているワケで、こうなるとコワイのは、戦前のように「一億火の玉」化しかねないことだ。映画監督だった故・伊丹万作氏は著書「戦争責任者の問題」で、先の大戦に至った経緯を振り返りつつ、こう書いていた。

 映画監督であった伊丹万作氏の言葉の引用である。その言葉を私は初めて知ったが、強い感銘を受けた。

 〈騙す者だけでは戦争は起こらない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起こらない(略)騙された者の罪は、ただ単に騙されたという事実そのものの中にあるのではなく、あんなにも造作もなく騙されるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切を委ねるようになってしまっていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである〉

 今の日本を見ると、メディアは安倍政権のご機嫌をうかがい、おもねて、堂々と権力批判が出来るの公器としての自負を失ってしまっている。だからTPP法も、年金カット法も、ギャンブルのカジノ法も全て成立してしまった。しかも、数をたのんでの強行採決で、あっという間にであった。

 この間、隣の韓国の大統領のスキャンダルを、これでもかといわんばかりに連日大きく報道した。大事な法案が審議中なのに国民の目をそちらにそらしてしまったのだ。

 マスメディアが批判をしないので、国民は「仕方ないか」と諦め、この国では国会で安政権が持つ圧倒的多数のやりたい放題を眺めさせられているだけだ。

 隣の韓国では連日国民が集会に繰り出し、すごいエネルギーを発揮したというのに、日本では何ともおとなしいことである。「思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従をしている」のであろうか。

 伊丹氏が指摘しているように、「国民全体の文化的無力、無自覚、無反省、無責任など」が安倍内閣を支持し、やりたいようにやらせているのであろう。

日刊ゲンダイの記事は、聖学院大の石川裕一郎教授(憲法・フランス法)の次の指摘を載せている。

 「まずは安倍政権の負の部分をきちんと噛み砕いて報じない大手メディアの報道姿勢に原因があると思います。政府広報のような報道ばかりで、マイナス情報はごくごく少ない。だから、高い支持率を保っていられるのだと思います。

 ただ、政府・与党もそれを意図的に仕向けている面もあります。例えば、賭博を合法化するという大問題のカジノ法案をはじめ、TPP法案も年金カット法案も、強行採決に踏み切ったのはすべて金曜日。おそらく、土、日の休日は報道が減って国民の目に触れる機会も少なく、そのうちに忘れるだろう――と考えているのでしょう。国民は政府・与党にナメられているのです」

 オスプレイの事故をほとんどのメディアは「墜落」とは言わなかったことは、昨日書いた。LITERAに次のような驚くべきことが書いてあった。

 本土メディアはそうして政権の意向を忖度するだけではなかったらしい。ある沖縄のメディア関係者は、本サイトにこんな驚くべき話を明かしてくれた。

 「じつは、沖縄の放送局・琉球朝日放送は当初から『墜落』との表現をすると決定していた。でも、キー局であるテレビ朝日からの圧力で『不時着』との表現をせざるを得なくなったらしい」

 やはり見えぬ力で圧力がかけられているのだ。メディアは自分の役割を見失っていることをはっきり示している。

 

 

 

 

 

 

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コメント

安倍政権の高支持率の背景は野党が無力だといわれている。しかしよく考えてみるとマスメディア自体が政権に阿る報道ばかりに
なり、野党の意見を取り上げることが少なくなれば当然、野党は影が薄いということになる。マスメディアの報道が世論形成に大きく影響するのである。その意味で安倍政権がマスメディアの報道姿勢に強く関心を示し、陰に陽に介入?しているのは高支持率に大きく寄与していると思う。今般の日露会談の顚末についても
新聞各紙はどのように論評するか、大いに悩んだことであろう。
何が真実かを知るにはむしろ外国のまともなメディアの報道にも
目を通す必要があるかもしれない。

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