高齢者ドライバー事故
高齢者ドライバーの事故について新聞やテレビでよく見掛けるようになった。私も高齢なので、妻や娘から運転をやめるようによく言われる。でも、運転免許の更新ができたし、認知症はなさそうなので、週に1度程度近場を運転をしている。余り車を動かさないものだから、先日もバッテリーが上がってしまった。
12月16日の朝日新聞に興味深い記事が載っていた。「高齢ドライバー 統計とイメージに差」という見出しであった。
新聞やテレビによると、高齢者ドライバーの事故が多いように感じるが、それは「アジェンダ設定機能」というものでそうなるのだというのだ。初めて聞いた言葉である。
メディアには議題(アジェンダ)設定機能というものがあり、「今どんなことが問題か」を指し示す役割があるというのだ。それで、いったん、社会的なアジェンダになると、普段なら優先順位が低いケースでも、積極的に報じられるようになるというのである。
最近、高齢者事故のニュースが多く取上げられるきっかけになったのは、10月末に横浜で起きた事故であろうという。この事故は、登校途中の小学生たちを87歳の男性が運転する車がはね、少学校1年の男の子が死亡、児童を含む6人が重軽傷を負った。この悲惨な事故の衝撃が非常に大きかったので、「高齢者ドライバー」というアジェンダが設定され、それに適合する報道が増えたと推測すると言っている。
では、自動車事故による死亡者数はどうなっているかというと、過去20年間にわたって、減り続けているという。これは知らなかった。過去最多の1970年には、16000人を超す犠牲者が出たが、昨年は4117人だったという。これには驚いた。
同じ日のNHKの朝のニュースでは、事故が減ったのは、自動ブレーキシステムが普及し始めたことが大きいと報じていた。
ところで65歳以上の高齢者を見れば、減り方は鈍く、昨年の交通事故死亡者の54.6%と過去最高を記録したという。しかも半数は歩行中に起きた事故だという。私も気を付けてはいるが、いつ不注意で事故を招くかもしれないと自戒している。
最近の報道では、「加害者としての高齢者」が強調される傾向が強いので、高齢ドライバーによる事故が増えていると思う人が多いかもしれない。調べてみると、年齢層別で比較すると、最も死亡事故率が高いのは、16歳から24歳の若者だそうだ。
2015年 全世代平均 4.4件/10万人
若者 7.6件
高齢者(65歳以上) 5.8件
年齢階層で見ると
80歳~84歳 11.5件
85歳以上 18.2件
16歳~19歳 14.4件
事故の実数では、40歳~44歳の世代が一番多く死亡事故を起こしているそうだ。85歳以上
の3倍を超しているという。
高齢者の事故が目立っているのは、高齢者の人数が増えていることも関係しているのではと言っている。確かに平均年齢も健康年齢も高くなっているから、事故を起こしたり、事故に遭ったりする人も多くなるであろう。運転免許返納も含めて考えなければならないと思う。
以上は神里達博朝日新聞客員論説委員の論考に感想を加えたものである。
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コメント
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ひと世代前の高齢者は免許を持っている人が少数派であったが、現代は免許を持たない高齢者が少数派になりつつある。今後ますます高齢者が増えるので
高齢者による事故が増えるのは当然の成り行きである。車を運転しなければ加害者にはならないが、被害事故に遭う可能性は変わらない。先日、ディーラーに出かけた際に新車の試乗をさせてもらったが
安全運転装置の技術が目覚ましく進歩しているのには驚いた。特に自動ブレーキシステムは高齢ドライバーには必須のアイテムだという。その分車はより高価になっている。そこまで高価な車を買うぐらいなら必要な時はタクシーを利用した方が安くつくとも思える。私の車は代替え時期に来ているので次の車をどうするか思案の毎日である。
投稿: toshi | 2016年12月19日 (月) 08時56分