トランプ勝利を予測できず 安倍政権と大メディア“赤っ恥”
「私は全ての国民の大統領になる」「米国を再建し、アメリカンドリームを復活させる」――。ニューヨーク市で自信マンマンの勝利宣言だった。第45代大統領の座を手中に収めた共和党候補の実業家ドナルド・トランプ(70)。政府・軍での職務経験を持たない大統領は米国史上初だ。
それにしても赤っ恥をかいたのは、日本の大新聞・テレビだ。選挙期間中、「トランプ旋風」「トランプの悪夢」と面白おかしく報じる一方で、トランプを差別主義者の異端児として勝手に泡沫候補扱いしてきた。9日の大統領選を中継したテレビ特番でも、投開票前は「ヒラリー当確」の雰囲気だったが、開票作業が進むにつれ、スタジオ内にピリピリした緊張感が漂う様子がハッキリ分かった。要するにメディアは、米国世論を完全に見誤っていたのである。
埼玉大名誉教授の鎌倉孝夫氏(経済学)はこう言う。
「トランプ氏は国内産業の保護やメキシコとの国境の壁建設などを公約に掲げていました。これらはいわば、グローバリズムに対する反発です。グローバリズムを定義するとすれば、巨大資本による世界規模の利潤追求であり、それが米国で1%の富裕層と99%の貧困層を生み出し、格差社会を招いた。英国のEU離脱の原動力になったのは移民、難民を制限して雇用を守る――ということでしたが、トランプ旋風も根っこは同じ。格差に対する怒りが勝利に結びついたと言っていい。メディアは世界に広がる反グローバリズム、反新自由主義の世論を理解していなかったのです」
一方、予想外の結末に慌てていたのは安倍政権も同様だ。トランプ優勢が報じられると、官邸筋の談話として「人脈づくりから始めないと」なんて声が報じられる始末。安倍首相は夜に「日米は揺るぎない同盟国」なんて祝辞を出したが、“泥縄”はアリアリだった。
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