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2016年10月 4日 (火)

ブータン首相のTEDでのプレゼンテーションに感動

 ブータンと言えば、中国とインドという巨大な人口を抱える国のはざまにある、人口たった70万人ほどの国で、面積は九州ほどだという。

 ブータンが有名なのは、以前にこのblogで取り上げたことがあるが、GNH(Gross National Happiness国民総幸福)である。これは19701年代に当時の国王が唱えたものだそうだ。幸福だと感じる国民が世界で一番多いことでも知られる。

 そのブータンのツエリン・トブゲイ首相が、TEDでプレゼンテーションをしたのをNHKスーパープレゼンテーションで観た。

 民族衣装で演台に立った首相は、流ちょうな英語で話した。主題はカーボン・ニュートラルということで、ブータンは二酸化炭素の排出を抑え、豊富な森林に吸収させているということであった。カーボン・ニュートラル(二酸化炭素の排出した分は吸収をして0にすること)を国是としているが、実際はカーボン・ネガチヴ(吸収量が排出量よりも多くなること)だと話した。

 国土の60%は森林を保つということを憲法で決めていて、現在72%が森林だという。そして動物たちが行き来しやすいように、森と森を緑の道でつないでいるそうだ。森には世界でも珍し動植物がたくさんあり、その保護に力を入れているという。

 その森林が吸収する二酸化炭素は、排出量の3倍も吸収しているというのだ。だからカーボン・ネガチヴなのだ。

 さらに川を利用して水力発電をし、クリーンエネルギーの電力を他国に輸出しているそうだ。農家が薪などを燃やして二酸化炭素を増やさないように、電力を無償で供給していると言った。

 発電量を増やして、ニューヨークの消費電力が賄えるぐらいの発電をして、地球環境に貢献したいと語った。

 ブータンは二酸化炭素を減らすために貢献しているのに、ヒマラヤの氷河が温暖化で溶けて湖となり、その一つが壊れて氾濫し、大被害を蒙ったという。そうした氷河が溶けてできた湖が2700もあるというから驚きである。

 ブータンはコペンハーゲンでのCOP15で、カーボン・ニュートラルをやっていると言ったがどの国も無視したという。でも、2015年のパリでのCOP21では、同じ発言をしてやっと認められたという。

 ブータンは、教育費無料、医療費無料だそうで、国民の生活を守り、幸福感を大事にしている。また伝統や文化や行事を大切にしているという。そして地球環境に優しいカーボン吸収率世界一の国を造っているのだ。何と素晴らしいことかと思った。

 余談だが、ブータンでは憲法で国王の定年を60歳と決めてあり、国民が国王の罷免権を持つと定めてあるそうだ。こうした民主的な規定は国王が持ち込んだという。

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