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2016年9月 1日 (木)

凄い労作ー参院選テレビ報道の検証―④

「NEWS23」は6月29日、8分程度で憲法問題を取り上げた。憲法を学ぶ集会での「緊急事態条項」に関する講師の「これを入れられたら終わり、というくらい恐ろしいもの。憲法改正は隠されたメインテーマ」という言葉を紹介した。

 メインキャスター星浩氏は、「星浩の考えるキッカケ」のコーナーで、国民の憲法尊重義務を定めた自民党改憲草案と現憲法を比較し、立憲主義について「与野党でよく検討してほしい」と提起した。

 これらの指摘は意味があるが、肝心の緊急事態条項の内容は示されず、9条の改変、国防軍の創設、表現の自由の制限、といった自民党改憲草案の重要な内容は伝えられていない。安保法案に批判的姿勢を貫いた「NEWS23」としては、憲法問題の放送がこの程度で1回しかない、というのは前年度までの「NEWS23」からの後退というべきである。

 「NEWS ZERO」は、投票日直前78日、ようやく憲法問題を取り上げた。

 番組では、各党の「憲法改正」のスタンスを比較したあと、村尾信尚キャスターが「仮に“改憲勢力”が3分の2をとって、国会で本格的に議論が始まっても、この参院選で有権者の考えを具体的に聞いていない以上、この議論には限界がある」と指摘した。

 このコメントはキャスターの一定の良識を示したものといえる。しかし、6分間の放送はあまりに短く、各政党の主張を並べるだけにとどまり、改憲内容の検討までには至っていない。

 「憲法改正」に関する選挙報道で最大の弱点は、この問題が一般的な「憲法改正」という用語で伝えられ、その具体的内容が追及されなかったことである。

 強力な改憲勢力である自民党は、すでに憲法改正草案を発表しており、その内容は明確である。改憲派の中で、自民党の主張は、改憲を推進する現実的な力を持ったものとして他党とは比較にならない重さがある。争点として取り上げるのであれば、自民党が憲法の何を改定するのかの情報が報道の核心でなければならなかった。

 「憲法改正」という一般的な争点があるのではない。最大与党の自民党が何を変えようとしているかが争点だったはずである。

 しかし、自民党改憲の具体的な内容をあげて争点として提示する番組は「報道ステーション」以外にはほとんどなかった。情報量の不足と相まって、この点が「改憲問題」の報道の基本的な問題点であった。

 もう一つの弱点は、これほどの大きな争点でありながら、「報道ステーション」以外の番組は、改憲問題にかける時間量が68分程度で、内容的に不十分だったことである。

 NHKは、「ニュース7」では扱わず、「ニュースウオッチ9」では実質7分程度だった。このNHKニュース2番組の姿勢には大きな疑問が残る。

 なお「改憲」という争点に関連して、32の選挙区で成立した野党共闘の評価については鋭い対立がみられた。自公は「野党共闘は政策が違う政党の野合」と非難し、野党4党側は「安保法廃止、立憲主義回復」という大義で合意した共闘だと反論した。

 報道は、野党共闘に注目して、1人区の取材も行い、党首討論や街頭演説で対立する主張を伝えた。しかし、全体を通じてみると、有権者がこの対立について判断するための情報が十分に伝えられたとは言えない。

 この共闘には、政党だけではなく、安保法に反対した全国的な市民運動の関わりが大きかったが、こうした市民の動きや、野党4党と市民連合が具体的な政策で合意していたことなど、重要な事実がほとんど伝えられなかった。争点の背景に何があるかを伝えるという点で問題を残した経過と言える。

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