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2016年9月29日 (木)

安倍首相の演説で起立拍手―「兵隊さんよありがとう」を想起―

 9月27日の衆議院本会議での所信表明演説の途中、首相が領土や領海、領空の警備に当たっている海上保安庁、警察、自衛隊を称えて「現場では夜を徹し、この瞬間も海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が任務に当たっている。今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」と呼びかけた。これに呼応して自民党議員らが起立し、拍手。安倍首相も拍手した。

  これについて小澤一郎議員は「北朝鮮か中国共産党大会みたいで、不安に感じた」と評したという。この問題に対して野党は議員運営委員会で抗議をしたが、自民党は「適切ではなかった」と認め自然発生的に起こったことだと説明した。

  しかし、実際は演説前の午前に、萩生田官房副長官から竹下国会対策委員長など幹部に「演説を盛り立ててほしい」と依頼したという。それを伝え聞いた若手議員らは拍手をしてほしいとか、起立をして欲しいと聞いたと言っているそうだ。

  首相の演説の該当のところで、一斉にスタンディングオーベーションが起きることは、指示がなくてはあり得ないことだ。自民党の説明はまやかしである。

  安倍首相は「自衛隊員への敬意の『拍手』だから野党議員も拍手をすればよかったのだ」と言ったという。

 天声人語では、多くの職業の中で、なぜこの人たちを称えるのかが理解できないと書いているが、私も同感である。たとえば安い給料で過酷な労働を強いられている介護職員だって、同じように敬意を払われるべきである。 

  この問題に今の安倍首相と自民党の考えや、目指す方向が如実に示されている。私は子どもの頃に歌った「兵隊さんよありがとう」という歌を思い出した。この歌は昭和14年1月にコロンビアから発売されたもので、日中戦争などやその後の太平洋戦争で戦う兵士に感謝するということで広く歌われたものである。

   肩を並べて兄さんと 今日も学校へ行けるのは 兵隊さんのおかげです

   お国のために お国のために戦った 兵隊さんのおかげです

   兵隊さんよありがとう 兵隊さんよありがとう

  安倍政権は安保法制を強行採決し、それに基づき、この11月にも、南スーダンへの駆けつけ警護と宿営地の共同防護を命じようとしている。だから殊更に自衛隊への「敬意」を強調したかったのだ。

 尖閣列島での中国の脅威に警戒の任務についている海上保安庁や、沖縄の長江ヘリポート建設で反対者たちを弾圧するために、全国から動員された警察機動隊なども念頭にあったのだろう。

 一番の狙いは「兵隊さんよありがとう」を再び、ということだと私はにらんでいる。少しずつ発砲する自衛隊への国民の危惧を弱めようと手を打っているのだ。

 「兵隊さんよありがとう」の画像検索結果

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コメント

冷戦はなやかなりし頃、東欧の共産国では権力者が演説した後、議員たちは一斉に起立し嬉しそうな顔をして力強く拍手している
映像をニュースでよく見た。後で知ったのだが、好き好んで拍手しているわけではなく、そうしてないと監視機関よりチェックされ、反党分子として粛清されてしまうのだ。演説を聞くのも命懸けなのだ。そういえば、先般、北朝鮮では金正恩総書記の演説中に居眠りをしていたという理由で処刑された高官がいたらしい。
今回ももし、起立して拍手しない自民党議員がいたとしたら、殺されないまでも、総理によからぬ感情を持つものとして排除されるのは必至である。そんな馬鹿なことはと思う人もいるかもしれないが、組織の論理とはそういうものである。全体主義への危険な兆候と思うか、自民党の団結力は素晴らしいと思うか、人それぞれであるが、、。

投稿: Toshi | 2016年9月29日 (木) 11時06分

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