とと姉ちゃん
NHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」が、相変わらず高視聴率を続けているようだ。前回の「あさが来た」は広岡浅子という幕末生まれで、明治・大正の女性企業家をモデルにして好評であった。今回も2匹目の泥鰌を狙ったのかどうかは定かではないが、実在の大橋鎮子さんをモデルにしている。
ただ、大橋さん一家は浜松には行ってないのだが、ドラマでは浜松を舞台にした。どうしてだろうと思った。もちろんフィクションだからそれでもよいのだが。
最初はユニークなというか、暖かい家庭を描いていたが10日ほどで終わって、西嶋秀俊の「とと」が死んでしまった。もう少し生かしておいてほしかった。向井理演じる「とと」の弟というのが出没していたが、それが「とと」とは正反対のいい加減な男である。
また、常子たちが東京深川に来て、材木商の青柳家に世話になったが、祖母役の太地真央が美人で、常子の母君子の木村多江と親子とは思えないぐらい若いので違和感がある。でも、太地真央はかたくなな江戸っ子祖母を上手に演じている。木村多江は常子たちの母親君子役としてぴったりで、やさしくて芯の強が強く礼儀正しい君子を巧みに演じている。私は木村多江を知らなかったが好きになった。
青柳の家を出て森田屋という仕出し屋に住み込むが、その初めの日の女将や板前のきつい態度と言い方にも違和感を感じた。しかし、その後一家が馴染んでいってからは正常になった。江戸っ子らしい気の強さや、正義感のようなものをピエール瀧や秋野暢子がうまく演じている。
ピエール瀧は「あまちゃん」の時の寿司職人以来の板前だがキャラクターは正反対。存在感はある。秋野暢子は昔、美人女優だったので最初は違う人かと思ったが、さすがに演技はうまい。
演技といえば、片岡鶴太郎の隈井という青柳の番頭役は出色である。今回はピッタリとはまっている。
常子の上の妹の鞠子は、常子と年がいくつ違うのか知らないが、鞠子役の相良樹の方が背が高くて、顔つきも姉のように見える。常子役の高畑充希が小柄で女学生でもはまっているので、これから成長していく中でどう変わるか楽しみである。高畑は常子役をとても上手に演じていると思う。
叔父の小橋哲郎と同じぐらい違和感があるのは、青柳家の養子清である。あの立居振舞にも厳しい青柳瀧子の養子らしからぬ人物として登場した。へなへなした男でこれも違和感があった。最近はシッカリした面も見せてはいるが。
帝大生の植物研究家星野武蔵は異色のキャラクターだが、新種を発見したといったとき、すでに新種として新聞にまで載っていたのを知らなかったというのはいただけない。あれほどの勉強家なら当然マークしていなければおかしい。
恋の芽のようなものをちらつかせたり、対立場面をいくつか設定したりして、ドラマの視聴者をハラハラさせているのはよい。ただ、極端なキャラクターを作って違和感を抱かせるのはどんなものであろうか。
「とと姉ちゃん」が「暮らしの手帖」を作った大橋さんがモデルのフィクションということで、モデルがどこまで描かれるかも興味のあるところである。
これまでのNHK連続朝ドラでは、「あさが来た」「マッサン」「ゲゲゲの女房」など実在のモデルがあるものは成功している。「とと姉ちゃん」も期待できるであろうか。
« 東京旅行⑧―皇居東御苑(江戸城本丸跡) | トップページ | 吉田文さん主宰 今期オルガンコンサート案内 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「光る君へ」脚本家大石静氏へのインタビューを読んで(2024.07.02)
- 名古屋の「虎に翼」ロケ地(2024.05.31)
- やはり面白くない「光る君へ」 (2024.05.23)
- ポツンと1軒家番組(2024.05.07)
- 相変わらず面白くない「光るの君へ」(2024.03.27)
コメント