アベノミクスの失敗、相変わらずの低価格指向
先日の朝日新聞に、「格安小売・外食 積極出店」という記事があった。それによると、低価格をうたう小売店や外食チェーン店が店舗網拡大に動くという。ユニクロと並ぶ「しまむら」が今後3年間で出店数を270店増やす。100円ショップのセリアは150店増やす。ダイエーは傘下のディスカウントショップ「ビッグ・エー」を年100店ずつふやしていく。
外食業界でも安い豚丼が好調な吉野家が出店数を増やし、焼き鳥チェーンの鳥貴族は首都圏を中心に100店出店する。
こうした動きの背景は、所得の伸び悩みや景気の先行きへの不安から、消費者が節約志向を強めていることがある。「15年秋から年末にかけて消費者の価格志向が強まった」(ビッグ・エー社長)と見ているからだ。
働く世帯がどのくらい消費に振り向けたかを示す指標も15年は14年から低下した。デフレ脱却をめざす安倍政権の「アベノミクス」が始まった12年の水準に戻ったという。
アベノミクスで安倍首相は、円安に向かい大企業は大きな利益を得たと胸を張った。やがておこぼれが下に滴り落ちて、中小企業や一般の働く人の収入も改善されると予言した。しかし、現実はトリクルダウンは起こらなかった。
ごく一部の中企業にはよい効果が見られたが、大多数の国民には何のメリットもないどころか、非正社員が増え、介護・保育など重要な職場に、低賃金のため人が集まらなくなった。生活保護を貰う人も増えて行った。
貧困女子、子どもの貧困、貧困化する老人、などがマスコミを賑わすようになった。介護保険料や健康保険料の支出が増え、年金は毎年減額されるため、年金生活者も支出を抑えざるを得なくなっている。
アベノミクスは、マイナス金利を導入したが、NHKニュースではその効果は出ていない報じていた。アベノミクスは大企業と富裕層を喜ばせるだけだと当初から批判されていた。その通りになったのだ。
消費者が低価格指向を強め、若者は自動車を買わなくなったといわれるが、自動車のようは高価なものを買って維持するだけの収入がないのだ。
今やシャープのような一流電化製品の企業も台湾の企業に吸収され、三菱自動車も自らの不正が原因とはいえ、日産自動車の傘下に入った。ソニーもパナソニックもアップアップだ。
ソニーやシャープでは大量の首切りが行われた。その労働者はどこに職を見つけたのであろうか。
安倍首相がいうデフレ脱却どころか、デフレはこれからも続くのだ。働く人の収入を増やさない限り改善できないが、安倍政権がやってきたことは、金持ちや大企業優先の施策だけである。
法人税大幅減税、相続税、孫への教育資金贈与、ふるさと納税・・・・どれをとっても富裕層だけが恩恵を得ているのだ。
この上来年度に消費税を10%にすれば、ますます消費は落ち込むであろう。だからいかに安倍政権であろうとも、消費税増税はできまい。
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