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2016年5月31日 (火)

日本人の貯蓄額は?平均でみるか、中央値で見るかで大きな差

 先日の新聞に、2015年に日本の家計が保有していた金融資産は1世帯あたり平均1805万円で、3年連続の増加となった(総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債編)」)と書いてあった。この金額が多いか少ないかは見る人によって違うだろう。友人はこんなにあるとは信じられないと言っていた。私も思ったよりあるのだなと感じた。

 Yahooニュースをを見ていたら、ニッセイ基礎研究所の櫨浩一専務理事が「普通の家計の貯蓄額は1805万円か997万円か」という論を展開していた。

 仮に1400万円の貯蓄がある人が見ると、自分の貯蓄は少ないと思うだろう。しかし、1400万円は日本の国内で多い方から上位4割程度の位置になるというのだ。

この人は平均額の4分の3程度の金融資産しか保有していないが、全体の中ではむしろお金持ちの方で、6割の世帯が自分よりも保有している貯蓄額が少ないのだ。

 日常よく使われる平均という言葉について、

 「身長がクラスの平均値の近くの人は、身長の順番に並べば大体真ん中あたりに位置する。テストの点数なども平均点であれば、成績の順位はクラスの真ん中あたりで、ごく普通の成績という評価になる。

 しかし資産や所得については、金額が平均値だということは平均的だということではない。」という。

 こういう時は、統計の本によると、平均値ではなく、中央値を使うべきだと言っているそうだ。

 家計調査で見た家計の貯蓄額は、平均で1805万円だ。しかし、保有している貯蓄額の多い順に世帯を並べたときに真ん中になる世帯の貯蓄額(中央値)は997万円となっており(*1)、平均値の1805万円を大きく下回っている。これは高額の貯蓄を持っている世帯が、平均を押し上げてしまうためだ。

 「平均的な日本の家計」が保有している金融資産の金額として中央値を採用すると、日本の家計が保有している金融資産の平均値を使った場合とでは大きな違いがでてくると指摘しているがそのとおりである。

 けれどもマスコミは中央値について言及したものはなく、みな政府発表の平均値で報道しているそうだ。

 米国では商務省が発表している家計の所得や貧困に関する資料では、中央値が最も重要な統計数値として扱われているのに比べると、日本では中央値はほとんど注目されることがないそうだ。日本の統計で中央値が発表されているものはほとんど無いのが実情だという。

 貯蓄が平均値の1805万円とみるのと、中央値の997万円とみるのとでは、この数値をもとに政策を打ち出すときに大きな違いが出て来る。だからより現実に近い数値を採用すべきである。櫨氏がいうように中央値に注目する必要があるだろう。

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コメント

一般に具体的な数字が出てくると、しかもそれが権威のある筋からであると人々は疑問もなく信用しやすい。ところが統計数字はそのまま鵜呑みにすることは現状認識を誤るもとである。ある結論を出すために、いくらでも都合の良い統計数値を使うことができる。数字を操作するのではなく、自分の結論に合いそうな統計数字を選択すれば、極論すれば正反対の結論さえも導くことができるのである。NHKの世論調査も例外ではないと思う。統計数字の前提条件をよく理解した上で数字を見るべきであるが、普通そこまではしない人が多いのでは。

投稿: Toshi | 2016年5月31日 (火) 07時52分

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