TPP今国会成立断念でよかった
4月20日の朝日新聞朝刊によると、政府・与党は衆議院特別委員会で審議中の環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案について、今国会での成立を断念した。
安倍政権としては何とか会期末までに成立させたいと思っていたのだが、衆議院で継続審議にした方が夏の参議院選挙に影響が少ないと判断したのであろう。
TPPについては、自民党は2012年の総選挙では、「ウソをつかない。TPP断固反対。」というポスターを作って宣伝をした。また北海道比例区の選挙公報には「私たちの暮らしを脅かす『TPP』を断固阻止する!」と書いた。
ところが、選挙で大勝すると、TPP交渉に参加し、米国に協力して率先してTPPを推進した。その任に当たったのが、あの甘利経済産業相であった。
安倍首相は4月7日の衆議院TPP特別委員会で「私自身はTPP断固反対と言ったことはただの一回もない」と答弁した。前回衆議院選挙を正当な理由もなく解散したのは安倍首相であった。自民党の党首として当然「TPP断固反対}に賛成をしてそれを掲げて選挙を戦ったのだ。それなのに盗人猛々しく言ったことはないとよくも言えたものである。
TPPについて審議をしている国会で、交渉経過について資料を要求されたとき、真っ黒に塗りつぶした文書を提出した。国会をバカにしているにもほどがある。その一方で西川衆議院TPP特別委員長は交渉の内幕本を発行することになっているという。
アメリカのオバマ大統領が進めるTPPは米国の多国籍企業が利益追求を第一にしていくための仕組みである。
関税を撤廃して自由貿易をするというだけでなく、食糧を輸入に頼っている日本の食の確保や安全を脅かすものである。さらに健康保険制度や医療にも重大な影響を与えるものである。国民皆保険の制度が崩されると懸念されている。おそろしいことはまだある。それはISD条項(投資家・国家間の紛争解決条項)である。それによって、多国籍企業が政府や自治体の施策に介入したり干渉したりする「権利」を保障しているのだ。
2013年の国会決議では農産物の重要5項目(米、麦、牛、豚、肉、乳製品、砂糖)聖域を守るとしたが、安倍政権はそれを無視して交渉を進めたのだ。
ネットで調べると「政府の大筋合意の発表によると、関税の撤廃率は95%となっており、日本にとっては過去最高の撤廃率となります。
特に注目されるのが国会でTPP交渉の"聖域"と決議された「農産品重要五項目」の3割で関税が撤廃されることです。五項目はコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖です。これらは日本の食料自給率を維持するとともに、日本の農家を守るために死守するべきものとされていました。」と説明している。
TPPの今国会での成立は断念したが、秋の国会でも廃案に追い込むことが求められる
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