« 桜の散りゆくを見てふと浮かんだ軍歌 | トップページ | 参議院議員選挙は野党協力を »

2016年4月 9日 (土)

川内原発運転停止認めない判決に異議あり

 九州電力川内原発1,2号機は国内で稼働している唯一の原発である。その運転差し止めを求めた住民の抗告を福岡高裁宮崎支部は棄却をした。

 原発がどの程度の安全性を確保すべきかは社会通念で判断すべきだとし、住民側が主張するような、合理的な予測を超えた水準の安全性を求めることは社会通念ではないと言う理由づけであった。社会は絶対的な安全性までは求めていないという判断である。

 先に出た高浜原発差し止めの大津地裁の決定は、想定外の災害が襲った福島第一原発事故を踏まえて、同様の原発事故を2度と起こさないという視点を重視したものであった。

 今回の宮崎支部の決定は、福島のあの事故の原因究明がされていない点には触れず、「社会通念」では絶対的な安全性までは求めていないと判断したのだ。弁護団の河合弘之弁護士が「原発が危険かもしれないのに、社会通念というあいまいなものに転嫁して運転を認めた無責任な決定だ。福島の事故を直視していない」と指摘したのは納得できる。

 福島第一原発では、メルトダウンが起き、その後の処理に巨額の費用と時間と労力をかけることを余儀なくされている。現在放射能汚染の地下水が海に流れ込むのを減らすために凍壁が作られているが、それだけでは放射能の流出は防げないであろう。

 その後メルトダウンした機器の取り出しをしなけらばならないが、人間が近づくこともできない状況で、ロボットを投入して作業をするのだと思う。しかし、これからの作業は困難を極めるであろう。

 原発は安全だと言い続けてきた、政府や電力会社の「安全神話」が崩れさったにも拘わらず、また安全神話を作ろうとしている。それに対して多くの国民は原発は懲り懲りだとし、再利用可能エネルギーに向かうべきだと考えている。今回の福岡高裁宮崎支部の決定こそ社会通念に逆らうものである。

 今言われている「南海トラフ大地震」がくれば、また福島のような事故、いやそれを上回る日本列島壊滅の原発事故が起きるかもしれないのだ。原発の新規制基準は福島事故をふまえて、最新の科学的知見に基づいて、安全対策を強化したから、「社会通念」を反映していると認定した。今度大事故が起きたら、それは社会の責任だという予防線を張ったものになっている。電力会社や原発を推進している政府には責任はないと言っているようなものである。

 このような無責任な、あいまいな決定は受け入れることはできない。事故が起きてからでは遅いのだ。それが福島原発事故の教訓である。

 

|

« 桜の散りゆくを見てふと浮かんだ軍歌 | トップページ | 参議院議員選挙は野党協力を »

原子力発電・再生可能エネルギー」カテゴリの記事

コメント

山崎川もそうでしょうが、うちの周りにも桜の花びらが、風と共に毎日舞い飛んできます。
しかし、ほうきで掃けばきれいになりますし、手を抜いてそのままにしても枯れていきます。放射性物質もそうであるならば誰も何の心配もしません。
地球の気象条件ゆえに福島第一から飛散したものの大部分は太平洋上に舞い落ちたと考えられているようですが、それでも関東各地ばかりか静岡の茶畑にも、さらにそれ以西でもたくさん観測されるありさま。
川内原発で事故が起きればどうなるかは子供でも想像がつきます。この究極的ともいえる理不尽にどのように対処していったらいいのやら。
そして「福島原発では事故は起きない」と断言した十悪五逆の極悪人とも言うべき首相がのさばっていられる人の世を「仏教入門」ではどのように解釈していくのかも気になるところです。

投稿: たりらりら | 2016年4月 9日 (土) 21時47分

ご指摘のように最高裁判事や高裁判事の任命に政権の意向が影響することはあると思います。最高裁判事が適任であるかどうかの投票は形骸化しています。

投稿: らら | 2016年4月 9日 (土) 10時15分

高浜原発差し止め判決が出た直後に、また原発再稼働や原発輸出を推進する現政権を後押しする判決を出すのはやりきれないですね。事故が起きた時にこの判決を出した裁判長はどのような責任が取れるのでしょうか?あまりにも無責任な判決だと思います。安保法案違憲訴訟などでも高度な政治判断を要するものは最高裁は判断しないというおかしな判決が出されますね。最高裁や高裁の裁判長人事にまで政権が介入してすべて政権にの言いなりになるような人を選んでいる結果ではと疑います。それではNHKの会長人事と同じですね。いつになったら司法は行政から独立できるのでしょうか。

投稿: danny | 2016年4月 9日 (土) 08時29分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 川内原発運転停止認めない判決に異議あり:

« 桜の散りゆくを見てふと浮かんだ軍歌 | トップページ | 参議院議員選挙は野党協力を »