何とかならないのか。大量に廃棄される食べられる食糧
2月10日の朝日新聞朝刊22ページに「食べられるのに なぜ捨てられるの」という記事が載った。廃棄食品横流しで浮かび上がった「食品ロス」を取り上げたものである。
それによると、2012年の農林水産省が行ったメーカーや卸売り、小売業での食品ロスは年間推計331万トンという。
廃棄の理由は、「規格外」「過剰在庫」商品リニューアルによる「定番カット」、外食産業での仕込み過ぎも含まれる。
今回問題になった異物混入などはここには含まれないから実際はさらに量が増えることになる。
卸売りなどからの返品が大量に発生する背景には、以前にもこのblogで触れた「3分の1ルール」という食品業界の慣習がある。
それは小売店への納品は賞味期限の3分の1、店頭での販売は3分の2時点までというのだ。3分の2を過ぎると「販売期限切れ」で返品や廃棄に回されるというのだ。
ある回転ずし店では、15分回ると捨てているという。客としては新鮮なものを食べられてよいが、食品の側から見ると何とももったいない話である。
この記事にはこんな例も紹介されていた。讃岐うどんの会社だと推定されるが、大量に生産されたうどんがベルトコンベヤーで流れる間に計量され、規定の量より少しでも多いか少ないと廃棄されるという。廃棄は1日で300キロ~500キロにもなるそうだ。
こうした生産・流通過程での食品ロスの他に、家庭での調理くず、食べ残し、手つかず食品の廃棄が312万トン(2012年)推計されている。
この記事では触れていないが、レストランや学校給食などでの食べ残しも相当な量があると思われる。私が勤めていた頃は、給食はクラスとしては残さないように、食べたい子に食べてもらったり、パンは欲しい子に持って帰ってもらっていた。(今はそんなことはできないだろうが)
世界の飢餓人口は、国際連合食糧農業機構の2014年9月に発表した数字によると、8億500万人で、9人に1人の割合である。大変な数である。日本の飢餓人口がどのくらいあるのか知りたかったが、残念ながらネットでは出てこなかった。しかし、貧困が叫ばれている現在、食べ物に困る人々は、ホームレス以外にもたくさんいるはずである。そうした統計がないのは政府の怠慢ではないか。
日本は世界中から食料を買い集めてしのいでいる。自給率は2012年で僅かに39%に過ぎない。食糧安保という言葉を聞いたことがあるが、日本の首根っこを食糧で握られているのだ。生活必需品ではないが、コーヒーの値上がり、バター不足などもその現れである。中国が魚や穀物を買うようになったのでそうしたものの値上がりも招いている。
安倍政権は、軍事力こそ安全保障だと安保法制を改定したが、兵糧攻めという言葉があるように、食糧こそ安全保障の重大要素である。それなのにTPPによって農業を苦境に追い込もうとしている。
食糧は生存に不可欠のものである。ところが日本では、先にみたように、大量の食品ロスを出している。神様がいれば罰を与えること必定だが、具合の悪いことに神様はいないようだ。
食糧ロスをなくすことは喫緊の課題の一つだと思うのだが、僅かに民間でフードバンクの活動があるぐらいで、政府としての政策も施策も聞いたことがない。自民・公明政権は、貧乏人のことや食料の浪費などはどうでもよいのだ。というか、食糧の浪費によってGDPを上げることが出来ると思っているのである。
食糧を無駄にしないことによって、どれだけ地球の二酸化炭素減少に貢献できるか、という研究はないのであろうか。食糧生産に使われるさまざまなエネルギーを試算すれば分かると思うのだが。
食品ロスを何とかして最小限度まで減らすことは、直ぐに取り組むべき重要な課題である。
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我々は食料品を買ったりレストランで食事をする場合、食品ロスの分も負担して支払っている。即ち業者は食品ロスを見込んで価格設定をしているからである。もし食品ロスがゼロであれば消費者は現在より何割か安い値段で食料品を購入したりレストランで食事ができるのである。食品ロスをゼロにすることはできないにしても、より少なくすることはできるはずである。それには現状の賞味期限の設定の仕方をより合理的に改めるべきだと思うが、、。
投稿: toshi | 2016年2月12日 (金) 10時51分