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2016年1月16日 (土)

山田厚史の「世界かわら版」から―④―

 「安倍首相が「分配」という言葉を使い始めたのは、彼なりに政策の空回りに気づいたからだろう。」と山田は言う。本当にそうなのだろうか。仮にそうだとしても「分配」の中身と仕方が問題である。

  「アベノミクスが津々浦々に行き渡らないのは、タイムラグがあるからではない。構造に問題がある。強者優先の経済はトリクルダウンどころか、国内経済を疲弊させる。」と指摘しているが、底辺にまで落ちてくるには時間がかかる(タイムラグ)ではないというのはその通りで待っていれば必ず分け前が落ちてくるという保証はどこにもない。それどころかトリクルダウンはもともと目くらまし(幻惑)であったのだ。

  「ゼロ成長は皆が足踏みしているのではない。株や海外取引で儲ける人はますます利益を膨らまし、その対極で貧困を加速する。」

  「子どもの貧困、母子家庭、独居老人、若年ホームレス、地方の疲弊。豊かな社会に隠れ見えにくい貧困が静かに拡大している。分配の問題が放置された結果である。」

  山田は「豊かな社会」と言っているが、今の日本は本当に豊かなのであろうか。かつて1億総中流と言われた頃は実感として国民のほとんどはそう感じたかもしれないが、今や下流老人、子どもの貧困、女性の貧困、若い人の貧困など「貧困」という言葉をつけて語られる時代である。このままいけば「1億総貧困」となるやもしれないと危惧されるのだ。

 「貧困問題は今や日本の大テーマである。不機嫌な空気が漂う底流に貧困がある。年金で暮らせないことに怯える中高年。非正規から這い上がることができない若者。国民年金の掛け金さえ払えない貧困予備軍が5人に1人はいるという。」と言っているが、不安定、不安に脅かされ気分が晴れない。

  「一人当たりのGDPで日本は世界ランキングで後退するばかりだが、394万円(2015年)は、決して低い額ではない。皆で分け合えばその半額でも十分な暮らしができる。」と書いているが、日本の政治家には「分け合う」という考えがないように思う。北欧の国のように親に頼らなくても一人前の大人になれる仕組みがないのはその為だ.オランダのようなワークシェアリングの考えもない。

「皆が等しく貧しい時は成長で。貧しい中で少数だけ豊かな時は革命が。豊かな社会に潜む貧困は分配で解決できる」

 経済学者の浜矩子の言葉を引用しているが、示唆に富む言葉である。

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コメント

 銀行に預けると利子が付くのが楽しみな時代がありましたね。夢のようです。利息のよいものに預け替えに行ったことが思い出されます。

投稿: らら | 2016年1月16日 (土) 15時44分

日本では実質ゼロ金利が長年続き、国民はそのことに慣れて、それが当たり前に思うようになっている。しかし何十年も前には銀行に定期預金をしておけば10年もたてば倍になる時代があった。
昨今の中間層が貧困化する原因の一つは金利がゼロも大きいように思う。金利ゼロは異常な事態であるのにそれに対する怒りの声は聞こえない。他方、メガバンクは空前の利益をあげ、大企業の利益も金融収支改善が大きく寄与している。これはもう合法的な所得移転である。すなわち本来なら預金者の金利収入になるものが吸い取られてしまう。何故、ゼロ金利が続かなければならないか
政策当局者は納得いく説明をして欲しいものである。

投稿: toshi | 2016年1月16日 (土) 06時54分

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