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2016年1月14日 (木)

山田厚史の「世界かわら版」から―②―

 「経済産業省と経団連は一体となって国際競争力の強化に励んできた。しかし、1980年代に資本規制が外され、現地生産や営業活動が海外でできるようになり、状況は変わった。冷戦が終わりヒト・モノ・カネが自由に飛び回る時代となり、企業は国民経済から解き放たれた。」と言っている。

  その証拠として「アベノミクスで円安になっても国内経済は潤わないことを挙げている。「国際展開する大企業は史上空前に利益を上げているが、日本国内に投資しない。投資は海外だ。儲かる市場に投資する。利益は膨らんでも従業員の給与は上げない。コスト増は国際競争力を低下させる。企業がグローバル化すれば、日本の労働者は中国やアジアの労働者と競争を強いられる。

  経団連が政府の求めた労働法制の『改悪』も国際競争に追われる企業にとって必要な措置だった。生涯面倒を見なければならない正社員の数を減らし、賃金が安く、いつでも『雇い止め』できる非正規社員を増やす。デフレ下にリストラで人員を減らし、人の手当ては非正規で補う。その結果、日本の産業界は40%の働き手が非正規となった。」

  山田は上記のように述べているが、内部留保を溜めこんでいるにも拘わらず、企業が利益を優先にして、人件費を減らすことで更なる利益を求めて、安倍政権に労働法規を企業に有利なように改めさせたのだ。労働者は「物」と同じ扱いとなり、企業の思う通りに動かせる仕組みになったのだ。働く人の40%以上が低賃金の身分不安定な非正規社員となっては国内経済がよくならないことは誰も目にも理解できることである。

  企業が一番いい方法だとして選択した企業として生き残る道→人件費を節約する→正規社員を減らして請負や派遣に切り替え→収入が少ない→消費者の購買力が落ちる→企業の売り上げが減る。という循環になる。

  それぞれの企業が最適を選択した結果、国内市場が枯れてしまったと指摘する。それぞれが最適選択として行った行為が、全体では悲惨な結果を招く、という現象で、経済用語で「合成の誤謬」というのだそうだ。この言葉は初めて知った。「経済の自己撞着」と言った方が分かりやすいと思う。利益追求の資本主義経済の撞着である。

 アベノミクスがうまくいかなかったのは当然の帰結だと言えよう。

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コメント

このところの株価の不安定をどうみているのでしょうか。株価を大事とする安倍首相ですが。

投稿: らら | 2016年1月14日 (木) 11時44分

私も曲がりなりにも経済学部出身なので「合成の誤謬」という言葉はかろうじて聞いた覚えがある。別の言い方をすれば、ミクロの善は必ずしもマクロの善とはならないということである。物を大切に長く使うことは個々人にとって善であるが、全体がそうなるとものが売れなくなり、経済は発展しないのである。それはともかく、アベノミクスは一部の大企業、金持ちを潤しただけで失敗であったことは明らかであるのにその責任を追及する声は少ない。他にいい方法があるのか開き直れば答えがないとでも安倍政権は思っているのであろうか。野党の支持率があがらないのもやむおえない。そういえば現政権を支持する最も多い理由が他よりはましに思えるという理由なのである。

投稿: toshi | 2016年1月14日 (木) 10時02分

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