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2015年12月14日 (月)

安保関連法案国会審議・テレビニュースはどう伝えたかー⑪―

◆二つの防衛省内部文書の暴露。国会審議無視の自衛隊のプラン

 8月11日、参院特別委は、共産党小池副委員長が、安保法案成立を前提にした防衛省の内部文書を暴露したことで騒然となり、審議が打ち切られた。

 「ニュースウオッチ9」「NEWS23」「NEWS ZERO」は、小池議員の質問と「コメントは差し控えたい」という中谷防衛大臣の答弁をほぼ1問1答で短く伝えたが、「報道ステーション」は他のニュース番組とは違い、質疑だけでなく、文書の内容をかなり詳しく報じた。

 番組は、文書のタイトルが『日米ガイドライン及び平和安全法制関連法案について』であること、また、法案の成立を8月とし、来年2月からスーダンのPKO活動を新法で運用する日程表が文書にあるなど、重大な事実を明らかにした。その上で、「戦前の軍部の独走と同じではないか」という小池議員の一連の追及を伝えた。

 その後、8月19日、中谷大臣が11日の答弁を翻して「私が命じた。当然の研究、検討だ」と答弁したことをめぐって審議はまた紛糾した。「報道ステーション」と「NEWS23」はこの19日の審議を丁寧にフォローしたが、「ニュースウオッチ9」はこの日の審議は報じていない。

 9月2日、参院特別委で、共産党仁比聡平議員は入手した自衛隊統合幕僚長訪米の会議録について政府を追及した。「報道ステーション」と「NEWS23」はこの質疑を伝え、統幕長が米軍幹部に「安保法案は夏までに成立」「ジブチの役割は拡大する方針」などと述べた記録の内容を引用、紹介した。

 この文書は、国会でまさにその是非が議論されている問題について、自衛隊が法案成立を前提に独自の方針や主張を持っていたことを示していた。「ニュースウオッチ9」はこの審議内容をまったく報じなかったが、これは安保法案が成立したあと、はたして文民統制が貫かれるかどうか懸念を生じさせる重大な情報であり、決して軽視できないものであった。その意味でNHKニュースの対応は批判されるべきである。

 つぎに各ニュース番組が衆院、参院での強行採決をどう報じたか、モニター担当者は当日の各番組の内容、傾向について報告している。以下その要点を列記する。

◆衆院特別委での強行採決をどう報じたか715日、モニター担当者コメントより)

「ニュース7」

 「自・公政権の法案強行採決でいつもよりは時間をかけた報道だが、『強行採決』という表現は最後まで聞かれなかった。抗議集会の参加者の声は比較的多く取り上げていた」

「ニュースウオッチ9」 

「採決シーンは比較的丁寧に見せたが、ナレーションは『騒然とした雰囲気に包まれる中、自民・公明の賛成多数で可決』、『強行採決』という表現は使っていない。

5分半近いスタジオでの記者解説は『60日ルール』の説明や、国会内の議会運営手法、各党の駆け引きの状況の解説にとどまり、法案自体についての視聴者の関心に応えるものとは言えなかった」

「みんなのニュース」

「ニュース枠をおよそ30分に拡大、強行採決の動き、民主・岡田代表、自民・佐藤参院議員の出演という3部に分けた構成になっていたのは納得できるものだった。しかし、強行採決の異常なあり方に対するメディアとしての鋭い批判は感じられなかった」

「報道ステーション」

「衆院平和安全法制特別委の強行採決にかかわる動きを、国会前の反対行動の生中継から始まって丁寧に伝えている。強行採決という政局の動きだけでなく、ナレーションで『採決強行前の最後の質疑でも、法案への懸念は払しょくされなかった』としているように、当日の審議内容をぎりぎりまで伝え、強行採決の問題を浮かび上がらせた」

「NEWS23」

2910秒という時間量で強行採決をめぐる動きを伝えた。スタジオゲストに憲法学者で早大の長谷部恭男教授を招いたほか村山富市元首相、映画監督の大林宣彦氏、作家の真山仁氏のインタビューが紹介された。この日の放送は強行採決を立憲主義、憲法の平和主義を破壊する暴挙として糾弾するトーンが強かった」

 

 

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コメント

 橋下氏が「憲法改正だ!」と気炎をあげましたね。また、週刊誌もダブル選挙で自公大阪維新で圧勝と書きました。催眠術だと思いますが気を付けないと。

投稿: らら | 2015年12月14日 (月) 15時56分

二つの防衛省の内部文書は、これまでなら確実に防衛大臣辞任となったのに、現政権は嘘を塗り重ねて処分なしですね。これもNHKが何も伝えなかったので、辞任を求める世論が大きくなりませんでしたね。昨年の12月には河野幕僚長は夏までには安保法案が成立すると米国に約束したり、今年6月には防衛相設置法改正で、制服組に背広組と対等の権限を与えて、事実上文民統制が無くなりました。今後は制服組の発言力が益々大きくなると思われます。
来年大阪維新が国政に出れば、自民、公明と組んで、3分の2以上の議席を確保すれば、憲法改悪がいよいよ現実的に可能になってきますね。骨抜きにされてもまだ9条は生きていますが、改悪されたら9条は本当に死んでしまいます。難民排斥など世界中で極右政党が政権を握る時代になっているので、来年がさらに心配です。

投稿: danny | 2015年12月14日 (月) 10時06分

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