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2015年12月 7日 (月)

 安保関連法案国会審議・テレビニュースはどう伝えたか―⑦―

3)テレビ朝日「報道ステーション」

報道ステーション」の安保法案報道は、一貫して批判的報道を貫き、政権をウオッチするジャーナリズムの精神が保持されていたとみることができる。

とくに、憲法学者木村草太、政治学者中島岳志、朝日新聞論説副主幹の立野純二という3人のレギュラーコメンテーターのコメントは、毎回、事態の動きと政権に対する鋭い批判を含んでいた。

 この3人の批判的コメントが連日のように放送されたことは、今回のテレビ報道ではきわめて注目すべき現象だと言ってよい。

 批判的コメンテーターの採用は、「報道ステーション」を特徴づけるものなので、典型的なコメントの例を挙げておく

 ドイツ軍のアフガニスタンでの後方支援のレポートのあと、木村草太氏のコメント。

 木村「ドイツには法律だけでなく、憲法にもきちんと武力行使について議会が関与することが書かれているが、日本は憲法がそもそもそういうことを想定していないので、全く憲法上書いてない。今のままやってしまうと、どんなに緩い手続きでやっても憲法で止めることができない、非常に危険な状態と思う」(7月20日)

 強行採決が迫っている段階での中島岳志氏のコメント 

 中島「私たちは今4つの“崩壊”に出会っている。(説明部分は略)

 一つは憲法の崩壊、政策論が憲法に優越してしまう、憲法の空洞化。二点目に国会の崩壊。問題の違うあり方を検討して行くことが全く無視されるという議論の崩壊がある。三つ目に連立与党の崩壊。公明党とは何なのか、公明党が与党の中でどんな役割を果たしているのか、見えづらい。

 四つ目に保守政治が崩壊。今回のように急進的で一気に物事を変えていく、その政治姿勢こそ保守が批判してきたあり方ではないか」(9月16日)

 参院特別委で強行採決されたのを受けての立野純二氏のコメント

 立野「安倍政権が否定したのは平和主義にとどまらず、主権在民という大きな原則もないがしろにした。国会の外、全国で多くの方々が街頭に出ている。その最大のアピールは、主権 者はいったい誰なんだ、というアピールだと思う。

 上から決める政治なのか、国民本位の政治なのか、国会の外と内とでぶつかり合っているのはその二つの価値観ではないか」(9月17日)

  3人のコメントを記録したが、注意深く聴くと、いずれのコメントも「安保法案反対」とは言っていない。あくまで憲法と民主制の維持の立場からのリベラルな批判であり、そのため説得力があった。

  この番組のモニター担当者は、こうしたコメンテーターが常連として登場していたことは、最近の政権のメディアへの圧力の強まりのなかで、奇跡的なことではないか、と報告している。番組を詳細に記録してきた担当者の感想はうなずけるものがある。

  このほか 後述するように、「報道ステーション」は、法案の問題点を、国会審議と独自の調査報道でできるだけ明らかにしようとしていた。また市民の抗議行動の紹介にもかなり長い時間量を割いている。その点を総合的にみて冒頭の評価となった。

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コメント

 テレビ局や新聞を抑え込むのが政権維持と政策実行に一番効果的なやり方だと思います。大政翼賛会化するのはいつでしょう。

 私はその番組を見ませんでしたが、もし施設に入る必要性が出てきたら・・・と思うとぞっとしますね。

日本会議など安倍応援団の極右団体が読売と産経の2紙にNEWS23岸井成格氏への歪んだ番組批判の全面広告を出してから、岸井氏の番組降格が局内では決まったようですが、報道ステーションも彼らの攻撃目標となっているようなので、同じことが起きないか心配です。この記事でNHKがいかに安倍政権を支えるために真実の報道を伝えなかったか、具体的事実の報道を他局と比較、検証して、とてもわかりやすいリポートだったと思います。報道の自由を潰すために圧力をかける政権と右翼団体は、もちろん一番非難されるべきですが、安易に首相と食事会に出かけたり、放送免許の剥奪をちらつかせるとすぐに圧力に屈する民放も権力を監視するジャーナリストとしての強い信念が希薄ではないかと感じます。

昨日のNHKスペシャルで介護危機衝撃の実態「急増する無届施設」という番組が放映された。まさに衝撃的な実態であった。特養には待機が多くて入れない。かといって有料老人ホームには高くて入れない。やむなく無届介護ハウスに入る高齢者がどんどん増えているというのである。その原因としては高齢者の増加に公的な施設や介護の人材が追いつかない、診療報酬制度の改定により長期間の入院が困難になり病院を追われる高齢者が増えている等が挙げられるという。問題なのはたとえ20万程度の年金がある恵まれた?高齢者も相当の財産がなければ他人事ではありえないのである。このまま放置すれば事態は悪化の一途だという。政治が取り組むべき最優先課題といえるが、政権与党に本気で取り組もうという意欲は感じられないが、。

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