2024年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 高齢者健康診査を受診して | トップページ |  安保関連法案国会審議・テレビニュースはどう伝えたか―⑦― »

2015年12月 6日 (日)

安保関連法案国会審議・テレビニュースはどう伝えたか―⑥―

2)NHK「ニュース7」

 ニュース7」は、各局ニュース番組の中で、最も高い視聴率を獲得している。非常によく見られ、影響力が大きい。ただこの番組は、「ニュースウオッチ9」の半分の時間量で、キャスターが用意されたニュース原稿を読む、という基本的な性格を持っている。そのため独自のコメントや時間をとった企画などが入りにくいという事情はある。

 しかし、そのことを勘案しても、この番組は「ニュースウオッチ9」と同じ傾向を持ち、批判精神を欠くという指摘は避けられない。その事例をいくつか示したい。

 6月25、自民党の「勉強会」の中で、批判的なメディアを「懲らしめる」発言が伝えられ大問題となった。

 「ニュース7」は、「――と述べた」「――と陳謝した」と伝えるだけで、ニュース番組としてこれをどう見たか、どう考えたかをせめて言外にでも伝えるという姿勢が見えなかった。報道に従事する者としては身に迫る圧力であるのに、そのような危機感は感じられなかった。

 ちなみに、新聞も民放のニュースでも、この事件を、「圧力」「威圧」といった用語を用いて表現し、抗議のニュアンスをにじませたが、NHKは「ニュースウオッチ9」も含めこのような用語は使っていない。

 また、安保法制ニュースのコーナーが、一方的に政権与党の主張を伝える場になった例があったことも見逃せない。

 8月9日の放送では、自民党高村副総裁が、講演会で安保関連法案審議における民主党の質問を批判したことを報じた。「非核3原則を持った日本が核弾頭を米国のために運ぶことはあり得ないのは日本人の常識。あまりあり得ない無意味な議論をして不安を掻き立てるのは止めにしてもらいたい」。わざわざ単独でこの発言を取り上げた理由はなんだったのか、なぜ、民主党の反論を取材しなかったのかなど疑問が残る。

 また国会周辺で、これまで最大の安保法制反対の集会が開かれた日の「ニュース7(8月30日)5分12秒間の安保報道の最後を、自民党谷垣幹事長の「戦争法案、徴兵制をやる法案というのは、ためにする誹謗中傷だ。何としてもこの国会で解決し、次に進まなければならない」という談話で締めくくっている。

 このほか、「ニュース7」のキャスターのコメントでは、政権のメッセージ“今国会での法案成立”というフレーズが再三にわたり使われている。

 「安倍総理は安保法案をめぐって野党が対案を国会に提出したことを評価した上で、決める時は決めると述べ今の国会での成立に重ねて意欲を示した」711日)

 「今日の論戦では、PKO活動の拡大や、自衛隊の安全確保の問題が取り上げられた。今後の審議に関連し〝議論が熟した時は採決を〟と述べ、今の国会で法案の成立を期す考えを重ねて強調した」825日)

 「安倍総理は今日夕方、自民党の役員会で〝今の国会も残り1か月を切ったがこの国会で成立させるべく、最後まで政府・与党が緊張感を持って取り組んでいきたい〟と述べ、今の国会で成立に向けて改めて決意を示した」831日)

 「衆院特別委員会で安倍総理大臣は〝今国会で法案成立させる〟の考えを重ねて示した」914日)

 その他にも819には「中谷防衛大臣は参議院特別委員会で、安保法案は〝国際テロ対処で自衛隊貢献の幅を広げる〟として法案の必要性を強調した」などとコメント、8月21の放送では、防衛省の統合幕僚監部が法案成立を前提に自衛隊の対応を記した文章を作成していたことを共産党の小池議員が暴露した問題について、「安倍総理大臣は今後具体化していく検討課題を整理するため、必要な分析や研究など行うことは当然だとして、問題なしとの認識を示した」などと政権の代弁とも取れるコメントをしている。

 記者解説も「ニュースウオッチ9」と同様の傾向がみられた。9月17、参院特別委員会の強行採決の解説は次のような内容だった。

 キャスターの「混乱した委員会での採決、なぜこんな事態になったか」の問いに対して、政治部記者の解説は「野党側が徹底して採決に反対したから。国会周辺ではデモや集会が連日行われていて、民主党などは、世論と連携しあらゆる手段で採決を阻止したいとしてきた。鴻池委員長の不信任動議の採決でも野党側は法案の採決を遅らせたいとして趣旨説明や討論で40分以上演説する議員もいた。与党側は昨日の夕方に委員会採決をしたいとしていたが野党の強い反対でスケジュールが遅れて、昨日は委員会の開催も出来なかった。本会議でも野党の強い反対を予想すれば、連休前の今日の採決は譲れなかった」

 この解説はどう聞いても混乱の責任は野党にあると主張するに等しい。政権の非民主的な議会運営で強行採決した事については何の批判、疑問も呈していない。

 以上は象徴的な例であり、そのほか同様の例は少なくない。こと安保法制報道に限り、「ニュース7」は現政権、現権力に有利な主張を伝え、結果的に世論を誘導することに貢献したといえるのではないか。

 

« 高齢者健康診査を受診して | トップページ |  安保関連法案国会審議・テレビニュースはどう伝えたか―⑦― »

マスコミ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 安保関連法案国会審議・テレビニュースはどう伝えたか―⑥―:

« 高齢者健康診査を受診して | トップページ |  安保関連法案国会審議・テレビニュースはどう伝えたか―⑦― »