第27回橘座公演「春雨や雷蔵独演会」
楽しみにしていた「第28回橘座公演」が、11月22日に愛知産業大学付属工業高校で開催された。12時半開場だが、12時に会場に着いた。すでに40人ほどの人が並んでいた。
この日の出演者は「春雨や雷蔵」であった。私は春雨や雷蔵の名前を聞くのは初めてでどんな噺家か知らなかった。あまり期待もせずにでかけた。
13時開演で、学校長の挨拶のあと、開口一番は立川吉孝(きっこう)であった。題名は分からないが、かしこい子どもがあれこれと策をめぐらし小遣いをせびるという噺であった。立川吉孝は立川流から師匠が落語芸術協会に移ったので行動を共にしたのだそうだ。その為に2つ目だったのが前座に逆戻りしたと笑わせていた。芸歴18年で前座を1年やらされるのは大変だと思うが芸の世界は厳しいと思った。
立川吉孝は18年もやっているだけあって、発声や語りができていて前座からやり直すことはないと思った。
その後は春雨や雷蔵の「猿後家」で、私は初めて聞く噺であった。猿のような顔をした後家の商家では「サル」という言葉は禁句となっている。うっかり「サル」という言葉を使ったら後家の怒りを買うのである。
ご機嫌取りのために源六とか他のご機嫌取りが後家の所へやってきて、後家が美人だと褒めそやしてご馳走や小遣い餞をもらうのだが、うっかり「サル」の入った言葉を使ってしくじるという噺である。「猿回し」とか「猿も木から落ちる」とか「さるすべり」とかを口にして失敗するのである。この噺も私は聞くのが初めてであった。
中入のあと、俗曲で桧山うめ吉が三味線を弾きながら歌った。「米山さんから」とか小唄とかを歌ったり新内を三味線で弾いたり、最後には「深川」を踊った。
江戸のお座敷芸だと思うのだが、私のように芸者がいるお座敷には縁のない者にはお座敷を垣間見ることができた。
髷は自分の毛で自分で20分ぐらいかけて結うのだそうだ。首筋に色気があり、後ろの女性たちが「可愛いね」と言っていた。
最後は春雨や雷蔵の「御神酒徳利」で、これも私には初めて聞く噺であった。商家の番頭が占いで徳利を探したり、財布を探したり、鴻池の娘の病気を治すというめでたい話である。
噺の構成がうまくできていると感心して聞いた。春雨や雷蔵はさすがに年季が入った噺家で巧みに語っていて、まくらでも面白く涙がでるくらいであった。
このblogを書くためにネットで調べたら、落語新人賞とか国立劇場「花形演芸会」大賞とか文化祭芸術賞最優秀賞を受賞していることが分かった。これまで名前を知らなかったのはなぜだろうと思った。幕が閉まる時頭を下げたがその顔が誠実で好感をもった。
満席の聴衆もみな満足をして帰ったのではないかと想像した。聞きに来た人の中に杖を突いた人やおぼつかない歩き方の人などかなりの高齢者がたくさん見受けられた。橘座が大変貢献をしていることを改めて思った。
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