「生涯健康脳」という本を読んで―⑥―
東北大学の加齢医学研究所では、アンチエイジングではなく「スマートエイジング」を提唱している。私もその考え方に賛成である。
英語のスマートは賢いという意味である。だから「賢く年を取ろうよ」ということになろう。アンチは抗するということで、アンチエイジングは「年を取ることに抗する」ということになる。
世の中には、アンチエイジング食品、サプリメント、美容など商品が溢れている。エイジングは加齢だから、加齢したくないということで、歳をとりたくない、老人になりたくないという気持ちがあり、ひいては年齢を重ねてきた人生を否定するニュアンスも感じられるという。(P.31)
加齢により、外見の美しさや運動能力、認知力などいろいろな能力が衰えていくことを認めたくない気持ちは分かるとしながら、若さに拘ると加齢は辛いこと、むなしいこと、不幸なことになっていまうという。
加齢は、長年の知識や教養や人脈の積み重ねによってもたらされる豊かさが増していくことでもあるといい、アンチエイジングのネガティブな捉え方でなく、加齢を「知的に成熟する人生の発展」としてポジティブに捉えようと言っている。
加齢を否定するのではなく、人生の豊かな実りの果実を楽しもうという提案にはうなずける。ただ脳の衰えによる認知症とか脳血管障害による言語や身体能力の障害とかを避けなければスマートエイジングも叶わない。
だから著者が言うように生活習慣に気を付けて健康な脳を保つように心がけることが大事である。
釈迦が四苦として指摘したように、「生・老・病・死」はどうしようもないものである。ただ病だけは心がけである程度は左右できる可能性がある。老・死は避けられないが心の対処次第で、つまりどう受け止めるかで変わってくる。だからスマートエイジングは良い提案であると思う。
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長生きすることで下流老人が増えるのは政治の貧困が影響していると思います。年金生活者も年金がどんどん減らされ、介護保険料負担が増えています。先行きが心配です。
投稿: らら | 2015年10月24日 (土) 21時04分
スマートエイジングとは初めて聞きましたが大変いい言葉でその意味するところにも大いに共感できます。ただ生涯健康脳以前の問題として、今日本では下流老人が大量に増えているそうです。下流老人とは「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」すなわち文字通り、普通に暮らすことができなく下流の生活を強いられている老人を意味してます。賢く歳をとるためにはまず、経済的に困らない生活が大前提です。それが今損なわれつつあるのは大問題です。衣食たりて礼節を知る。そうありたいものです。
投稿: toshi | 2015年10月24日 (土) 08時46分