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2015年9月11日 (金)

「ことばはゴムのように」という興味深い記事

 9月9日の朝日新聞に「ことばはゴムのように」という興味深い記事があった。国語辞典編集者の飯間浩明氏が書いたものだ。サブタイトルに「安保法案 解釈が伸びていく不安」とある。

  国語辞典の編集者の飯間氏が、言葉はあいまいなところがあり、解釈でどうにでもなる危険性があることを述べたものだ。

  氏は交渉などで「解釈に幅のある言葉をあえて使う」のは有効であるという。その例として「明治日本の産業革命遺産」の登録に際し、朝鮮人労働者の歴史をどう表現するかでもめたときのことを挙げている。

  英文で「強制労働」を「forced labour」ではなく「foraced to work」を使ったことで、韓国側は「強制により労役し」、日本側では「働かされた」と訳した。苦慮のあとがうかがわれるという。

  「合意のためには、解釈の余地を残すことも必要です。ただ、注意すべきは、『解釈は、ほうっておけばゴムのように伸びることが多い』のです」と指摘している。

  飯間氏は「辞典編集者として国会の議論も観察対象にしているが、安保関連法案の審議では、ゴムのように伸びる例が多く採集される」と言っている。

  中谷防衛相が「ミサイルは弾薬と同じ『消耗品』」言ったことを「ミサイルの運搬が鉛筆を持ち運ぶ感覚になりかねない」と危惧している。「消耗品」を三省堂国語辞典では【使うたびに減る品物。えんぴつ・コピー用紙など】と説明しているそうだ。

  「集団的自衛権行使の前提になる『存立危機事態』も、どういう事態を指すのか、解釈の余地を残しています。たとえ今の政権が自制的に解釈しても、将来の政権が解釈をゴムのように伸ばすかも知れない」と指摘している。

  憲法9条の解釈を歴代政権が70年間、「個別的自衛権」に固定してきたものを、一夜にして「集団的自衛権行使」に変更した安倍政権である。国会で「絶対にありません」などと体のよいことを言っていても、いつ変えるか知れたものではない。だいたい安倍政権の答弁はゴムのように解釈を伸ばす用語ばかりなのだ。

  安保関連法案は参議院でも十分に審議されたとは言えず、問題だらけである。与党は早期の採決の地ならしをしているがとんでもない話である。安保法制は憲法違反であり、廃案にすべきである。

 辞典編集者飯間氏の「ことば」の面からの安保法案の危険性の指摘は素晴らしい。政治家は「ゴムことば」を多用するから、いつも注意していなければ騙されてしまう。

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憲法問題」カテゴリの記事

コメント

大久保先生が存命であったら、もちろん安保法制反対の先頭に立ち、安倍首相らの国会答弁のばかばかしさを分析されただろうと思います。

ららさんの以前の記事を読ませていただいていると大久保忠利先生のことが書かれていました。
私も学生時代に著書を読んだことがあるのでなつかしく思いました。
大久保先生がご存命であったら、大臣たちのバレバレのウソ発言についてどうコメントされることでしょう。
それにしてもNHKの劣化には言葉を失います。安倍首相がヤジを飛ばしたことをわざわざ「自席発言」と言い換える。頭だけでなく脚もマヒして首相は答弁席まで歩いて行けなくなったということでしょうか。

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