自衛隊の内部文書が示すもの―軍部独走と憲法学者が声明
自衛隊の取り扱い厳重注意の内部文書「『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)及び平和安全法案について」が参議院安保法制特別委員会で11日に共産党の小池議員によって暴露された。
この文書によると、安保関連法は成立したも同然だとして自衛隊が法案の実行計画を49ページにわたる詳細に内部報告をしたものである。
安倍首相は昨年末に米国に行き、安保関連法を今年の夏までに成立させると約束をした。そのこと自体国会を軽視した勝手な行動であった。その後4月には日米ガイドライン協定を改定した。これらは昨日見たように米国の言うとおりに実行したものであった。
内部文書は安保関連法が審議入りした5月26日の段階で作られていたもので先取りも甚だしいものである。8月成立、2016年2月施行を想定しているのだ。
ガイドライン実行には安保関連法が必要であるとして、憲法よりガイドラインを上位に位置づけている。そのために昨年7月1日に集団的自衛権行使容認の閣議決定をし、アメリカに成立の約束をし、ガイドラインを改定し、着々と準備をしてきたのであった。
この内部文書によると、ガイドラインに盛り込んだ「同盟調整メカニズム」の設置だけでなく、「軍軍間の調整所が設置される予定」と明記している。これはガイドラインにも安保関連法にもない隠されたものであるという。
自衛隊が自らを「軍」と呼んでいるのも大問題である。憲法では軍隊を持つことができないからだ。「軍」と称したことはどのような戦争でもできることを認めたことに他ならない。日米共同の司令部をつくり、平時から米軍の作戦に「軍」としてさんかするということである。
安倍首相は「ここには法律ができたときに検討する項目が書かれている。検討に向け分析、研究するのは当たり前」とうそぶいた。法案提出以前から着々と準備をしていたことが明白であるのにだ。
憲法学者たちは、「議会制民主主義のプロセスよりも防衛実務を優先しており、『軍部独走』という批判は免れない」という声明を21日に発表した。
まるで先の大戦に飛び込む軍部独走の過程を見るようである。
下記は東京新聞記事より。
声明の共同発表者は、六月三日に出された安保法案の廃案を求める声明に賛同した研究者が中心。二十一日午後までに三輪隆・埼玉大名誉教授、小沢隆一・東京慈恵医大教授、只野雅人・一橋大教授、稲正樹・国際基督教大客員教授ら六十五人に上った。
国会内で記者会見した三輪氏は「資料には、法案を基に今後の政策の方向性に立ち入った記述がある。国会の立法権の重大な侵害で、与党議員も怒るべき問題だ」と述べた。小沢氏は「資料作成に関わった幹部などの証人喚問が必要だ」と国会に対応を促した。
声明は、違憲の疑いがある安保法案の成立を見越して自衛隊の検討課題を示すことは、国会軽視だと強調。法案と日米防衛協力指針(ガイドライン)との関係に関し「日本の防衛当局にとってガイドラインが最上位の規範であることが露骨に示されている」と批判した。
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