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2015年7月 4日 (土)

「武」という漢字の「字源」と「字説」に学ぶ

 作家の百田尚樹氏や自民党の文化芸術懇話会の議員から、叩きつぶせと言われている朝日新聞の「ことばの広場」に、いくつかの漢字の意味についての説明があり、興味深く読んだ。

  漢字の成り立ちを「字源」といい、「字源」という大部の辞典もある。故白川静氏はこの方面の大家であった。「ことばの広場」の解説によると、成り立ちの解釈にはもう一つあり、「字説」と呼ばれているということを初めて知った。

  その例として、中国北宋の宰相、王安石が説いたという「籠」の意味を挙げている。「籠」は「竹の中に龍を収めること」であると言ったというのである。しかし、筆者は「龍」は単に「ロウ」という音を表したに過ぎないと言っている。このような「解釈」を「字説」というのだそうだ。

  字説は時には処世術となったり、思想へと発展したりもするので、それなりに意義があると言っている。

  そこで「武」という字を取り上げている。「武」の字説は、「戈を収める(戦いを止める)」ということだという。なるほど、武という字を分けると、「戈」と「止」だからそう解釈してもおかしくはない。この解釈は「春秋左氏伝」の約2600年前の記事に見られるという。

 「武」の字源の意味は「戈を携えて歩む」という正反対のものだそうだ。私はこれを読んで、正に時宜を得た解説だと思った。

 安倍政権は、70年間続けてきた歴代内閣の憲法解釈を勝手に変えて、「集団的自衛権行使」を閣議決定し、今国会で法制化を急いでいる。

 これまでの憲法解釈を「字源」だとすると、安倍政権がやろうとしていることは「字説」である。そして、「武」の字説は専守防衛の精神だが、字源は「戦争に行く」ことだから、集団的自衛権も含まれる。つまり、安倍政権は自衛権についての新しい字説をつくろうとしているのだ。

 私は「武」の字説の「矛を収める」すなわち、「戦いを止める」=「平和」の解釈をとる。自民党・公明党に加えて維新の党も加わって「武器を携えて世界に出かけよう」という動きに反対である。

 文化芸術懇話会の大西英男議員は、性懲りもなく自説を繰り返し、一部マスコミは戦争に向かうと煽りたてウソをついているから、マスコミを抑え込まなければならないと述べた。

 戦争には行かない、限定的な集団的自衛権であるということこそ、国民を欺くウソである。一旦法制化がされれば、どんどんと拡大解釈されて国民を戦争に連れ込むことは目に見えているのだ。

 「武」の字源のようにならないことが大事である。今はその正念場である。

 

 

 

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