新国立競技場に巨額の税金投入の怪
東京オリンピック・パラリンピックの主会場になる新国立競技場に総工費2520億円の巨額の費用を投入することが有識者会議で決まった。
東京にオリンピックを招致するに当たって、安倍首相は斬新なデザインと技術による新競技場の建設を訴えた。いわばその国際公約を実現させるというものである。だからどれだけ費用がかかろうと建設をするというのであろう。
安倍首相は日米安保ガイドライン改定の交渉の時も、安保法制の整備を夏までに行うと約束をして、そのために国民をなおざりにしてとにかく成立を目指して突っ走っている。首相は国民より対外メンツを重視しているのだ。
巨額の工事費を決めるに当たって、有識者会議というものに諮問した。これも安倍首相の常套手段である。これまでにも何度か指摘してきたように、有識者会議は隠れ蓑である。自分の考えに近い「有識者」を選任して意見を問い、多数の賛成が得られたとして決めているのだ。
今回も巨額の税金を使うことに反対意見を述べたのはたった一人であった。朝日新聞「天声人語」によると他の人たちは「関係者」のようなものであったという。
昨年5月の基本設計時には1625億円であった総工費が、895億も膨らんだのである。資材や人件費、消費税が増えた原因だと説明しているそうだ。しかし詳細は不明のままである。
この工事で儲かるのは、大成建設(1570億円受注)と竹中工務店(950億円受注)の大手ゼネコンである。JSC(日本スポーツ振興センター)はこの工事費を目標額としており、さらに増大することを含ませている。
ギリシャどころではない借金大国の日本である。財政再建が叫ばれながら先延ばしにされている。かつて箱物行政と言われ、全国に宿泊施設や劇場などの施設が造られたが、その後維持が成り立たなくなったものがたくさんある。今回の新国立競技場についても五輪後の維持を危惧する意見がある。
朝日新聞は、2520億円あれば「5歳児の保育料を無償化」できるとか、ギリシャのIMF延滞額より多いといい、諫早湾干拓総事業費に匹敵するという。東日本大震災の復興でもやらなければならないことがあるし、原発の処理にもどれだけかかるか知れたものではないのだ。
本当に新国立競技場というたったひとつの施設のためにこれほどの税金を使っていいものか大いなる疑問である。有識者と言っても国の現状や将来を考えることのできない連中だからこそ簡単にOKをだしたのであろう。
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サイクリング用のヘルメットかと思えこそすれ選手のためになるデザインかは疑問なあの競技場をどうしても造りたい人は自分達でお金を集めればいいのです。
少なくても4000億円はかかるでしょうから、1口10万円で400万口。そのくらい集められないようでは森元総理も真ん中にいる意味がありません。
なんでしたら1株10万円の株券にして、収益が出れば配当金を渡せばいいですし。
それは無理だというのであれば計画自体をさっさと白紙にもどすべきです。
東京スカイツリーでさえ650億円で民間企業が造り、サッカーのG大阪の新スタジアムは寄付金で造られるというのに、時代錯誤の箱物はいいかげんにしないと。
そもそも、私がネット上で見かけた予言や想定はせまい範囲にすぎませんが、悪化している福島原発か自然災害が原因で、2020年の東京オリンピックは中止になるとするほうが多数派ですから、能天気な出費はいいかげんしてもらわないと。
投稿: たりらりら | 2015年7月11日 (土) 10時24分
安倍首相は裸の王様だと評されています。Going his wayでやりたい放題です。今年はいろんな意味で歴史的転換点です。
投稿: らら | 2015年7月11日 (土) 08時12分
新国立競技場のデザインはとても斬新なデザインでる。斬新であるということはそれを完成させることは技術的にも高度で難しく金がかかることは素人目に分かる。安倍総理はこれを国威発揚の絶好の機会ととらえ、関係者に発破をかけたのは想像に難くない。当然、関係者は安倍総理の気持ちを忖度し、だれも表だって異を唱えない間に今回のデザインが決まってしまったのであろう。集団的自衛権の行使も
安倍総理の悲願を忖度することでここまで来たのである。絶対的権力者が存在すると忠誠心ごっこ、忖度ごっこがはびこるのは洋の東西を問わず歴史の常である。秋の総裁選で安倍総理の対抗馬が出ずに決まる可能性が強い。忠誠心ごっこ極まれりである。こんなことは国民が望んだことなのだろうか。
投稿: toshi | 2015年7月11日 (土) 06時28分