「中日春秋」で知った画家松本竣介氏の言葉
病院の待合室で中日新聞の「中日春秋」を読んだらすごい言葉を見つけた。松本竣介氏という画家が戦時中に語ったという言葉である。
先の大戦中日本は戦争遂行のために、言論統制をし総動員をした。画家も例外ではなく、藤田嗣治画伯をはじめ戦意高揚のための絵筆を執らされた。「言うことを聞かない画家には、配給を禁止する」と軍部は圧力をかけたのだ。
その時代に画家の松本が言った言葉が次の言葉である。
「今、沈黙することは賢い、けれど今ただ沈黙する事が全てに於いて正しい、のではないと信じる」
との一文を公にしたのだそうだ。
そして1942年に、灰色の街にすっくと立つ自画像を「立てる像」を発表したというのだ。春秋子は「あらゆるものが国家と戦争の論理によって立つ時代にも、自分自身の足で立とうとした。」と書いている。
私は松本竣介という画家を知らないが、あのものを言えない戦争の時代にはっきりと上のような言葉を述べたこと、信念として揺るがなかったことに感銘を受けた。彼は1948年に36歳の若さで世を去った。
戦後70年の平和の後、日本は大きな歴史的岐路に立っている。もし松本氏がいたらどう思うであろうか。
私は自由に発言を続けているが、もしあの戦争中のような時代が再び来たら、その中で毅然として自己の意見を述べられるかどうか自信がない。松本氏の信念に敬服する。
今は沈黙していてはいけない時なのだ。学者も法律家も技術者も主婦も学生も・・・・さまざまな人々が安保法制反対に声をあげ、行動し始めている。それは主義主張や支持政党に関係なく、自民・公明でつくる安倍政権が勝手な憲法解釈をして、きちんと説明できない安保法を国会での多数をたのんで強行採決で成立させようとしていることに反対をしているのだ。
自画像 立てる像
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コメント
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これから参議院での安保法案に対する審議が始まるが、期待するような議論にならないと思う。安倍総理は丁寧に説明するとしてテレビにまで出演している。しかし安保法案は軍事的な内容である。これをこと細かく説明することはこちらの手の内を明かすことになる。政府にとっては、知らしむベからず、よらしむべしの典型例である。昨年、中国のサンゴ密漁船が大挙して領海侵犯したのも日本が銃撃しないことを分かっているからである。黙って従えが、政府の本音である。でもこれは今の民主社会では通用しないことを知るべきである。
投稿: toshi | 2015年7月27日 (月) 08時07分