自民党のマスコミ規制の動きに驚く
安倍首相に近い若手議員が立ち上げた勉強会「文化芸術懇話会」の初会合が25日、開かれた。この会は安倍政権と考え方が近い文化人を通して、発信力の強化を図ろうというものだという。講師役は安倍首相と親しい作家の百田尚樹氏が招かれた。
この会に出席した議員からは、広告を出す企業やテレビ番組のスポンサーに働きかけて、メディアを規制すべきだという声が上がった。
NHKの放送は、会長に籾井氏を送り込み、経営委員にも安倍首相の息がかかった人を配してあるから、NHKは政府広報機関化している。問題は民放だという訳だ。民放も安倍政権や自民党政治に批判的な番組はほとんど見当たらない。テレビ朝日の「報道ステーション」を槍玉にあげて黙らせた程度だ。
それでも気に入らない番組があるらしく、「政権に悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればよい」「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」など、政権批判報道を規制せよという意見が出た。
講師の百田尚樹氏は、「沖縄の2紙はつぶさなくてはならない」と述べたと、26日の夜のNHKニュースで報じていた。キャスターはとんでもないことだと指摘した。自分たちに都合が悪いメディアは叩き潰すということを平気で論じる恐ろしい自民党である。
今、安保法制整備の法案が国会で審議中だが、批判が多く、法案通過するために会期を95日間も延長したばかりだ。私が知る限りでは政権批判というような番組はほとんど見当たらない。むしろマスコミが自主規制をしていると思うぐらいである。
安倍政権発足後、首相はマスコミ各社の首脳陣らと頻繁に会食を重ね、首相自らがマスコミ対策をしてきた。その成果が表れて、先の衆議院議員選挙でも、安保法制でも原発問題でも、マスコミの動きは鈍いのだ。天下の公器を自任するマスコミも政権に簡単に籠絡されてしまっている。
それでもまだ足りないというのが自民党の本音であるようだ。マスコミを大政翼賛にしてしまいたいということだ。それには弱点の広告収入(金)で締め上げてしまえという論法である。憲法を平気で無視するような党だから、言論の自由抑圧もパワハラも平気である。
一方同じ25日に開かれる予定であった「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」は、小林よしのり氏を招いて勉強会をすることになっていたが、急遽「時期が悪い」という理由で中止に追い込まれた。
小林氏は改憲派であり、安倍首相の解釈改憲とは異なるので、いくら超保守でも都合がわるいということらしい。片やマスコミ規制の会合をやらせておいて、自分たちには都合が悪い方はやらせないという、今の自民党とはそういう党なのだ。
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安倍総理は今回の若手議員の問題発言について野党議員から問われ、これも言論の自由に属するから処分する考えはないとの見解を明らかにした。いくら言論の自由だとはいえ、権力を有する政権党議員の発言とそうでない立場の者との発言とはその重みが全然違う。それを言論の自由だから同じだという考え方はまったく
おかしいと言わざるを得ない。一体この総理は何を考えているのだろうか。もっとも多くの自民党議員も同じ考え方であるが、ただ、言わないだけなのだろうか? 百田尚樹氏はその強烈な代弁者と言えるかもしれない。
投稿: toshi | 2015年6月27日 (土) 07時20分