改憲を止める国民的共同の提案ー渡辺冶一一橋大学名誉教授ー④
良心的な保守の人達とも共同を
90年代初頭からの、改憲と自衛隊派兵の試みの中で、中曽根内閣で官房長官をやった後藤田正晴氏が、自衛隊の海外派兵に断固として反対の意思を表明しました。
続いて、後藤田氏が反対した周辺事態法の成立に小渕内閣の官房長官としてかかわった野中広務氏が、2003年になると、自衛隊イラク派遣に反対して、保守の中で批判的な立場に立つようになりました。また新潟県加茂市長の小池さんも、小泉さんに自衛隊派遣反対の意見書を出し、九条の会に参加してきた。それから元防衛大臣だった箕輪登さんも反対しました。
そして、今、2003年の時に自衛隊のイラク派兵に陣頭指揮した柳澤さんが、自衛隊の「戦争する軍隊化」に反対して、離反しようとしている。
つまり今、3度目の離反が保守の中で起こっているんですね。これは明らかに、安倍政権の「戦争する軍隊づくり」「戦争する国づくり」に対して、これは戦後日本の70年にわたり堅持してきた日本のあり方、武力によって国益の実現を図らないというあり方の否定だという形で立ち上がっているのです。こうした保守の頭目の背後には、間違いなく、膨大な人々がいます。
こうした良心的保守の人達と共同することが大事です。私達が立ち上がること、呼びかける中で、こうした保守の人達を結集することが大事だし、これが安保闘争の時にはなかった大きな国民的共同をつくり出す第1の鍵だと思うのです。
安保闘争にはなかった地方の運動
2つめは地方のたたかいが発展しているという点です。安保闘争の時は大都市のたたかいでした。いくつかの例外を除いて、地方は全く動いていませんでした。地方は自民党の利益誘導型政治の貯水池のようなもので、当時地方がいかに動いていなかったかは、あれだけ昂揚した安保闘争直後の1960年の総選挙で自民党が大勝したことからも分かります。
ところが今は、構造改革、新自由主義改革、TPP、市町村合併の中で地方の離反が起こっています。むしろ大都市よりも地方の人々の、改憲や構造改革に反対する運動がものすごくある。その例は、あとでもう一度触れますが、改憲に反対する九条の会が、全国の地域で、実に7,500もつくられ、それが、10年近くにわたって継続していることにみられます。安保共闘は、地域で2,000の共闘組織がつくられました。それは画期的な試みでしたが、現在では、それを遙かに上回る地域の闘いの広がりがあります。
この第2の条件も、60年安保の時にはなかったことです。
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コメント
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記事の元のアドレスをmailしておきましたが、念のため明日の記事にも入れてあります。また下記にも入れておきます。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/20150503-00045368/
投稿: らら | 2015年5月11日 (月) 10時18分
いつもいい内容をありがとう。
この記事を他の人にも知らせたく、もとになったYahooニュースを見たいのですが、何日を見れば出てくるのか分かりません。
毎回、コピーしていますが広告も入るので、広告なしに見たいと思っています。
いつもは「ららさん」を紹介していますが、非常にいい記事なので、この内容を他人に知らせたいと思うので教えてください。
投稿: Ninja | 2015年5月11日 (月) 08時08分