2分間のパワフルポーズがあなたを変える―スーパープレゼンより
4月8日にNHK、Eテレで放送されたスーパープレゼンテーションは大変面白かった。話者はハーバード大学ビジネススクールで教えているエイミー・カディ准教授であった。演題は「Your bddy language shapes who you are(ボディランゲッジが人を作る)であった。
ボディランゲッジは「非言語言語」であり、コミュニケーションの一つである。それによって何を伝えようとしているか、相手にどんな判断を与えるかのが分かると話した。
例えば医者が患者を診察する様子(雰囲気・態度)を30秒見れば、その医者があとで患者に訴えられるかどうかが分かるというのだ。
また選挙の候補者を1秒だけ見るだけで70%の確率で当落が推測できるという。
私たちが非言語言語を考えるとき、相手をどう判断するか、相手がこちらをどう判断しているか、それがどんな結果をもたらすかに関係する。私たちは、非言語言語、思考、感情、生理に影響を受けているのである。
ゴリラが腕を広げて自分を大きく見せる行動をするが、100mランナーがゴールしたとき大きく手を挙げて広げるポーズをしたのも同じなのである。人間も動物も同じ非言語行動をしているのだ。生まれつき全く目が見えない人でも両手を広げる行動をすることが分かっている。
これらのポーズはパワフルを示す非言語行動なのだ。パワフルを示すポーズには、両手を広げる他に両手を腰に当てて胸を張るとか、座り方や立ち方でもいろいろある。
逆に無力感を表すのは、頭を抱えるとか、腕を組むとか、手で耳をさわるとか、うつむいて座るとかいろいろある。
対面しているとき、片方がパワフルな姿勢をし、他方が逆の姿勢を取ることも見られる。
学生を観察すると、「俺様学生」は部屋の真ん中に座り、まっすぐに手を挙げる。自信のない学生は部屋の隅に座り、自信なげに手を挙げる。そして圧倒的に女性は自信のなさそうなのが多い。女性はパワフルになりにくいのだ。(ホントかな?最近の女性は強そうだが・・・)
心は体を変えるが、では、体は心を変えるのか?強い心の人と弱い心の人ではどうちがうのか。
《強いふりをすると勝ち組になれるのか。強いいふりをしているうちに強くなれるのか。形から入ってパワフルになれるのでは》と考えた。
パワフルな人は、自信、やる気、冒険心、運が強いと思う・・・などがある。それはホルモンと関係している。テストステロンは支配欲が強く、コルチゾールはストレスと関係がある。実はボス猿を調べたら、人間と同じようにテストステロンが高く、コルチゾールが低いのだ。ボスが替わるとホルモンも変わることが分かった。
被験者を2つのグループに分けて、片方には2分間強いポーズをさせる。もう一方には弱いポーズをさせる。そしてその後賭けをするかどうか尋ねたら、強いポーズをした方は86%の人が賭けをすると答え、弱いポーズの方は60%であった。
この実験の前と後に唾液を取って調べたら、強いポーズの方はテストステロンが20%増え、コルチゾールが25%減っていた。弱いポーズの方はテストステロンが10%減り、コルチゾールは15%増えていた。
たった2分で、積極性、自信、落ち着き、ストレスに影響をしていることが分かったのである。非言語行動は心と関係しているのだ。体は心を変えるのだ。
次に、2分間のポーズで人生を変えられるかを実験した。人生で緊張する場面はいろいろあるが面接や発表はその一つである。仕事の面接を設定し、面接官には面接中無表情を保ってもらった。これは被面接者にとっては嫌なものである。
その面接の様子を動画に取って見せ、どの人を選ぶか尋ねたら、面接の前に強いポーズをとった方の人を選んだのである。分かったのは、存在感・自分を出せる人が決め手だということである。話し上手とか資格とか経歴は関係ないのだ。
「体が心を変え、心が行動を変える」のだ。自信がなくてもできるふりをし、それが自然になるまでにするのである。
結論はこうだ。
「これ、たった2分でいいんです。人から評価される場面に臨む直前に、エレベーターやトイレの個室、あなたのデスクがある密室などでこのポーズをやるといい。自分の脳を状況に合わせていくんです。テストステロンを増やす。コルチゾールを減らす。」(このポーズとはパワフルポーズつまり強く見せるポーズのこと)
(So this is two minutes. Two minutes, two minutes, two minutes. Before you go into the next stressful evaluative situation, for two minutes, try doing this, in the elevator, in a bathroom stall, at your desk behind closed doors. That's what you want to do. Configure your brain to cope the best in that situation. Get your testosterone up. Get your cortisol down.)
彼女はこの結論を多くの人に広げてほしいと話した。簡単で誰にでもでき、金がかからず、役に立つことだからだと言った。
非言語言語または非言語行動を観察することにより、そこからその人の考えや感情や生理などを知るように努めることも大事である。また、自分自身が自信を強め、意欲的になるためにも2分間のパワフルポーズを試すのは有用である。
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コメント
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服装も非言語言語だと思います。退職後はカジュアルなものしか着たことがありませんが。
投稿: らら | 2015年4月24日 (金) 09時23分
歳をとると、誰もがくすんでくる。そのために服装をできるかぎり明るく、しかも多少のおしゃれセンスがあればなおいい。上下単色のジャージは年寄には似合わない。と誰かに聞いたことがある。確かにアメリカなどでは高齢者が結構、派手な服装をしていて驚くことがある。これも非言語的表現かもしれない。男のおしゃれなどとんでもない。バンカラをもってよしとするような風潮が私のこれまでの人生では支配的であった。今後は服装の非言語的表現を心がけたいと思っているが、、。
投稿: toshi | 2015年4月24日 (金) 08時59分