「いつもの『パン』があなたを殺す」というショッキングな本から―③
炭水化物について次のように書いてある。「興味深いことに、人間が食事として必要な炭水化物は、ほぼゼロだ。つまり、私たちは最低限の量の炭水化物で生きられる。そして、その炭水化物は必要に応じて肝臓に供給されるようになっている。」(P.113)
私たちは毎日主食としてパンや米を食べ、時にはウドンやソバやパスタやイモなどの根菜類を食べる。朝食にシリアルを食べる人も増えている。これらの食べ物はみな炭水化物が主である。そうした食べ物は必要ないというのだ。
そして脂肪をもっと摂れと言っている。脂肪を摂らなければ生きていけないのだという。脂肪を摂ることは太ることと考えられているが、肥満は食事による脂肪摂取とは、ほとんど無関係だという。(P.113)
狩猟漁労採集生活をしていた時代は人類は高脂肪の食事を食べてきた。それで食糧が豊かな時に体内に脂肪を蓄えることをしてきた。それを助けるのが「倹約遺伝子」である。人類が炭水化物をたくさん摂れるようになったのは、1万年ぐらい前に農耕が始まってからだ。ところがそれは食糧が豊富な現代でも健在である。そのため炭水化物を多く摂る現代人はそれを脂肪として蓄え太ってしまうのだ。「倹約遺伝子」は糖尿病に罹りやすくする遺伝子でもあるという。(P.114)
20121年秋の「アルツハイマー病ジャーナル」によると、炭水化物を多く摂る高齢者は、軽度認知障害(MCI)の進行リスクが4倍近くになることが明らかになった。MCIはアルツハイマー病に前兆と考えられているという。
この研究によって、健康的な脂肪を豊富に摂っている人は、認知機能障害になる割合がそうでない人に比べ42%低いことが分かった。また鶏肉、牛肉、豚肉、魚などの健康的な食材からタンパク質を摂る人は、そうでない人より21%リスクが低いことも分かった。(P.115)
また、別の研究では、「オメガ3脂肪酸」がたくさん含まれている魚を毎日のように食べる人はアルツハイマー病にかかるリスクは44%減少したという。一方、魚を食べない人のリスクは37%増した。
アマニ油、クルミ油など「オメガ3脂肪酸」を豊富に含む油を日常的に食べている人たちは、そうでない人たちに比べて60%ほど認知症に罹りにくかった。(※ここにオリーブオイルが入っているのだが、オリーブオイルには「オメガ3脂肪酸」はゼロである)
「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」だが、「オメガ6脂肪酸」は炎症反応を促進する上、大量に摂取すると脳疾患に結びつくという。「オメガ6脂肪酸」はベニバナ油、コーン油,キャノーラ油,ヒマワリ油、大豆油、ゴマ油などの植物油に含まれている。(P.117、118)
※ちなみにオリーブオイルはオメガ9脂肪酸が非常に多い。
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コメント
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大変ショッキングなタイトルと内容の本です。信じるか信じないかは読み手の判断に掛かっています。日本でも2年前に似たような内容の本がでています。いずれ紹介するつもりです。
投稿: らら | 2015年3月29日 (日) 11時13分
非常に興味深い本です。
酒もタバコものまない、血圧も歩くことによって120台を維持していた私が脳梗塞を起こしてしまった引き金は、血糖値が急上昇したことだと思っていますので。
入院中の病院食でわかることは、1日の総カロリーはきっちりコントロールされています--そのため1か月で自然に体重は5キロ減ります(それだけ普段は食べ過ぎていたことになりますが)。
しかし「各栄養素をバランスよく」という栄養学の大原則にしばられているのか、炭水化物は結構多いです。
④以降が楽しみです。そして日本の栄養学会がこの本にどのような反応を示すのか(あるいは無視するのか)も興味深いです。
投稿: たりらりら | 2015年3月29日 (日) 10時07分