転載「タラの木のふしぎ 末期がんからの生還」(河村光恵著⑪
(23) 息子の父をけなせない堪忍の人生
子供を背におぶって、座って編み物をする姿が気に入らず、
「座ってする仕事は寝るひまにせよ!」
と怒鳴り、家族が寝静まってから夜中に働けと言うのです。朝は早い時は四時には起こしました。
「明るくなったで起きよ!」
と言う夫。妻の動きを一日中監視をしつづけ、次々と仕事を言いつけ世話をやきとおす毎日なのです。夫は自分の父親が母親にしていた通りにしているのでした。男は、そして夫とは、そういうものだ!と思い込んでいる人種に打つ手はありませんでした。
(24) 田舎と街の暮らしの違いが分からぬ夫
妻には年中一円たりとも、持たせない夫に泣きました。住み込みの若い衆が何人もいて、毎日の買い物に本当に困りました。お昼の買い物と夕食の買い物を一度にすることは許さず、その都度、
「何を買うか?」
と聞きくのです。
「行ってみないとわからない」
と答えるのが毎日のきまった会話なのです。
そして帰るのを待ち受けていて、職人の前で私のポケットの中に手を入れ、一円残らず取り上げるのです。ゾーッとする姿でした。せめて毎日の子供の「小遣い」くらい残してくれたら・・と、思って暮らしました。
外仕事の多い夫に本当に泣かされました。年中あちら、こちらで若い衆の毎日の食事の支度のお金を借り歩くのです。税務署の帳面は全部つけさせてお金の出入りは一切秘密です。あきれてものも言えません。自分の身内には驚く程の大金を出したがり、食事の買い物以外私に必要なお金は一切出し渋り出しません。私の身内には義理も恥もすべてかきどうしでした。
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