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2015年1月 9日 (金)

NHKスペシャル「ネクストワールド 私たちの未来 寿命はどこまで延びるかを見て

 1月4日に、NHKのネクストワールドは「私たちの寿命はどこまで伸びるか」を放送した。興味があったので録画をしておいて見た。

 人間の寿命は延び続けていて、1日に5時間延び、2045年ごろには平均寿命が100歳になると予測されているそうだ。私の実感からでも男性の平均寿命がこの間78歳だったと思ったら、今では80歳を超えている。

 昔は平均年齢は40歳ぐらいで推移していたというから、大変なことである。食糧事情と医療の進歩によるところが大きいのだと思う。

 番組では、寿命を延ばす可能性を医療の面から取り上げていた。その一つはNMNという物質である。アメリカのワシントン大学の今井真一郎教授などが研究しているものである。

 教授は薬瓶に入った白い粉を見せていた。NMNの粉なのだという。糖尿病のマウスに与えたら大きく改善したそうだ。今井教授は2000年にサーチュイン遺伝子の働きを明らかにしている。

コンピュータの発達で、遺伝子情報の読み取りは素晴らしく速くなり、それが医学の進歩にも役立っている。長寿遺伝子と言われるサーチュイン遺伝子に働きかけることで、活性化させれば老化を防ぐことができると考えられている。NMNはそれに有効だと言われる。

 また、ハーバード大学のデイヴィッド・シンクレア教授は、NMNが脳の視床下部を刺激して、老化を食い止め若返らせることをマウスを使って確かめた。

 NMNは日清製粉(子会社オリエンタル酵母)が将来の需要を見越して生産体制をととのえているようだ。

 NMNの臨床実験は今年にも開始されると言っていた。この番組の中のミニドラマでは、2035年ごろを背景に、長寿薬を飲むか飲まないかで世論が二つに割れている様子をやっていた。実際に有効な薬ができたら自分はどうするであろう。

 ドラマでは、手首につけた装置が身体の異常を発見して教えてくれ、すぐに治療をすることができるから病気にも罹りにくくなると言っていた。そうなると人間はどうやって死をむかえるのであろうか。

食糧問題とか、紛争とか、地球温暖化とか、そういった問題が解決されない限り寿命だけ延びてもどうしようもない。

3D印刷機を使って、臓器などを作ることができるというのも驚きであった。人工的に細胞を増殖し、それを立体化できるようになったというのだ。なんらかの事情で身体に障害ができた人にとっては嬉しい情報である。

 ナノ・マシンというのも凄い。東京大学の片岡一則教授によって研究されている。ナノの大きさのポリマーのカプセルに癌治療薬を入れて、がん組織に送り込みピンポイントで癌をやっつけるというのだ。アメリカがアフガニスタンなどで無人機を使って敵を攻撃しているが、それに似ている。戦争の道具としては感心しないが、癌との戦いの武器としては大変なものだと感心した。

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コメント

 NMNで若返ったとして、どのように死を迎えるのかそれについては何も言っていませんでした。

秦の始皇帝が権力の頂点に居た時、不老不死の薬を求め、大号令を発したのは有名な話である。無謀な皇帝の夢はかなわず、始皇帝は皮肉なことに、いかさまな薬のために死んでしまったとのこと。さしずめNMNは現代の不老長寿の薬なのかもしれない。寿命が延びるのは結構なことだとしても、問題は如何に生きるかが大切だと思う。兼好法師は徒然草の中で「名利につかはれて、しずかなるいとまなく、一生をくるしむるこそおろかなれ」と喝破している。要は1日1日を大切に生きなさいということでしょうか。

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