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2014年11月27日 (木)

衝撃!「沈みゆく大国 アメリカ」を読んで―①―

 堤未果さんが書いた「沈みゆく大国 アメリカ」(集英新書)を読み終えた。11月19日発行の日付がある出たばかりの本である。

 オバマ大統領が執念を燃やして何とか実現した、国民皆保険を目指すアメリカの医療保険改革(通称オバマケア)が、期待に反して恐るべき悲劇をアメリカにもたらしたというのだ。その一部始終を詳細に述べてある。

  私はオバマケアが実施されたとき、アメリカもやっと国民皆保険制度になってよかったと思った。「皆保険」・・・こんな良い制度をなぜアメリカは持っていなかったのか不思議であった。 ところがこの本によると、とんでもないことであったというのだ。

  アメリカの皆保険と日本などの皆保険は違うのだということを初めて知った。この本を読みながら、どうにも分かりにくかったのは、アメリカの医療保険制度について全く知らなかったからであった。

  アメリカの医療保険は、すべて民間保険会社が運用していて、営利を第一にしているということが分かった。さらに驚いたのは、オバマケアを設計したのが全米最大の保険会社ウェルポイント社の重役であったリズ・フォウラー氏だというのだ。

  彼女がやったのは、医療・製薬業界の最大の障害である「単一支払医療制度」案を取り除くことだ。これがあると製薬会社が利益を上げる邪魔になるからだ。彼女のおかげでウェルポイント社など大手保険会社の株価はうなぎ上りに上がったという。彼女は功績により、大手製薬会社のジョンソン&ジョンソンの重役に迎えられ、巨額の報酬を手にしたそうだ。

  製薬会社は、自社の薬に好きなだけ高い値段をつけられるのだ。C型肝炎の新薬ソバルティにギリアド・サイエンシズ社がつけた値段は、一錠1000$1クール84000$だった。(2014年8月)

  保険会社は大手保険会社の寡占状態となり、50州のうち45州は1~2の保険会社に握られている。そのため価格競争が起こらず、高い価格になっているのだ。患者が保険会社から受け取る前に病院窓口で自分で払わなければならない前金を免責額といい、それが吊り上げられるというのだ。

  また、利益を出さない疾病については診療を拒否されることがあるという。保険会社は営利目的だからだ。

 「オバマケアは、まるで雨が降ったとき濡れないように、国民全員に傘を買って渡したような法律です。雨が降って傘を開いてみると、傘は布ではなくて紙でできていて、どんどん穴が開き、みんなずぶぬれになってしまう。しかも、傘の代金は国民から集めた税金で払われていたという」

「この法律は、(オバマ保険という、高額な欠陥商品を強制的に買わせているのです」という医師のケイティ・ロビンスの言葉を紹介している。

  どんなに欠陥がひどいかをこの本では詳しく検証している。アメリカではオバマケアのことを分かっていない人が6割もいるのだそうだ。何も知らない、知らせない、知ろうとしないことが問題である。

 実はウオール街の金融資本(1%の富裕層)が利益をむさぼり蝕んできた、石油、農業、食、教育、金融などの領域の最後のものが「医療」の分野であったというのだ。

 グローバル化の中で彼らは次なるターゲットを日本として着々と手を打ってきているというのである。「衝撃!」というのは、まさにそこにあるのだ。

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コメント

アメリカの金融資本が自国民を食いものにし、さらに日本などをターゲットに蠢いているのが大問題です。一部に慈善家がいても免罪符にはなりません。

アメリカは1%の富裕層に80%程度の富が集中する超格差社会といわれて久しい。グランドキャニオンには柵がないに譬えられるほど社会生活に置いて
も自己責任が当然視される社会である。一方、巨万の富を築いた鉄鋼王カーネギーは「金持ちとして死ぬほど不名誉なことはない」と語り、事業から手を弾いた後は資材を投じて「カーネギー財団」を設立し、慈善活動に力を注いだ。石油王のロックフェラーも現役時代は蓄財を恥じることはなかったが、
引退後は「ロックフェラー財団」設立、私財の殆どを慈善活動に費やした。現在はこれを模倣した?
ビル・ゲイツ財団がつとに有名である。しかも半端な金額でない。本当のアメリカに理解することはなかなか難しいのである。

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