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2014年10月 8日 (水)

集団的自衛権行使がなし崩し的に拡大―国会はどうしたのか?

 日米両政府は、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の中間報告で、対米支援の拡大を盛り込むことになった。

  安倍内閣は7月1日に、「閣議決定」というとんでもないやり方で、集団的自衛権行使を容認した。それにともない自衛隊による国際貢献活動を拡大する方針を固めたのだ。これからは、「武力行使」も含めた対米支援ができるようにするのである。

  新たなガイドラインでは、従来の平時、日本有事(戦争状態)、周辺事態の3分類を廃止して、有事と平時に分けるのだ。それにより、米国への後方支援が、事実上日本周辺に限っていた地理的な制約が無くなることを意味する。

  今回の改定で、周辺事態の分類がなくなることは、支援の範囲を際限なく広げることになる。予想していた通り、アメリカの要請があれば自衛隊は戦いに行かなけらばならなくなるのだ。

  5日のサンデーモーニングで、毎日新聞の岸井氏は、集団的自衛権行使の閣議決定を、国民を騙すものだと指摘していた。憲法を変えるという重要なことを与党だけの話し合いで決めた上、さらに今国会でも取り上ず、野党の意見を聞く機会を封じているのは異常だと言ったが全くその通りである。

  今国会では、安倍首相は「地方創生」と「女性の輝く社会」をメインにして、最も重要な、集団的自衛権行使容認にともなう、関連法案の審議を来年春の統一地方選挙後に先延ばしした。この点についても、岸井氏は政権党の党利党略が優先した、とんでもないことだと指摘した。

  今国会はこの二つの法案審議で、平穏に過ぎるだろうと言われている。それが与党が知事選や統一地方選を有利にするための戦略なのだ。

  野党勢力がバラバラで、与党の圧倒的有利な現状では、安倍政権のやりたい放題になるのは当然といえるが、それにしても情けない事態である。香港のように大きな市民運動にならないのも残念なことである。

  野党が余りにも弱いために、本来なら閣僚辞職に発展するはずのヘイトスピーチの「在特会」幹部と山谷えり子国家公安委員長の記念写真、高市早苗総務相とネオナチ団体代表との記念撮影、稲田朋美政調会長とネオナチ団体代表との記念撮影も国会で問題にできないのだ。

  AFPはこれらのことを取り上げ、「安倍首相が、日本政界の右翼的人物でますます周辺を固めている」と報じている。

  憲法改正の手続きを経ず、密室の協議だけで決定された集団的自衛権行使容認と、それにともなう日米ガイドライン改正は、日本を戦争という不幸な方向に導くものであることに留意しなけらばならない。

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コメント

>安倍内閣は7月1日に、「閣議決定」というとんでもないやり方で、集団的自衛権行使を容認した。

憲法の解釈は時の内閣が行う、ごく普通の事です
そもそも「集団的自衛権は保有しているが行使できない」という解釈自体、政府・自民党がある意味勝手に憲法を解釈していたものです
そしてその解釈が間違いかどうかを判断するのは最高裁判所です

>アメリカの要請があれば自衛隊は戦いに行かなけらばならなくなるのだ。

「できる」ということと「しなければならない」は明確に違います
集団的自衛権は権利であり義務ではありません

>集団的自衛権行使の閣議決定を、国民を騙すものだと指摘していた

自民党は選挙前に、国民に向けて集団的自衛権を認めると公約していました

>香港のように大きな市民運動にならないのも残念なことである。

香港のように、ある政党が認めた候補しか首相になれないようになれば、市民運動が盛り上がるでしょう
しかし、日本には立候補の自由があり、今の自民党も公正な選挙により選ばれました

 野党がバラバラな状態で、しかも自民党寄りの野党があるので安倍政権の独走を許してしまっています。

ヒトラーは政権への支持を強固なものにするためにまず経済に力を入れた。ドイツ全体にアウトバーン網を張り巡らす巨大プロジェクトを実施し、多くの失業者を雇用したのは有名な話である。安倍政権がこれまで高支持率を続けてきたのはアベノミクスにより円安、株高が演出でき景気が好転したに期待がもたれたからである。しかしながら円安はこのところデメリットが大きいことが分かってきたし、株高も殆どの国民には関係ない。何よりも勤労者の実質賃金は減少しているのである。しかしこれだけ綻びが出てきた自民党政権にとって代わる野党はどこにも見当たらない。

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