国語世論調査を見て
25日の朝刊に「国語世論調査」の記事が出ていた。文化庁が今年3月に、2013年度の国語世論調査というのを実施したのだという。対象は16歳以上の男女で回答は2028人だった。
名詞や外来語に「る」や「する」をつけて動詞にする言い方を調べた結果であった。それによると、よく知られているのは「チンする」で、使うことがあると答えた人は90.4%であった。この使い方は、テレビの番組でもよく使われるし、完全に現代日本語になっている。
日本語教室で今教えている学習者に「日本では電子レンジで温めることを『チンする』という」と教えたことがある。短くて分かりやすいよい表現だと思う。
「サボる」は昔から使われている。学校でも「こら、掃除をサボるな」「宿題をサボるな」のようによく使われていた。
「お茶する」は我々高齢の男性は使わないと思うが、若い女性はよく使うし、高齢の女性でも使うようだ。いつのころからか女性に使われ出したようだ。
「事故る」はかなり前に聞いたとき、「えっつ、そんな言い方があるのか?」と驚いたものだ。「事故」に「る」をつけて動詞化するのは巧みではあるが。
「パニクる」も最初は変な感じがしたが、今では慣れてしまった。「愚痴る」は自然に使える違和感がない表現だと思う。
「告る」(告白する)はどう発音するのか、コクルだろうか。初めて知った。「タクる」も初めて知ったがタクシー利用だとか。「ディスる」はけなすという意味だそうだが、英語のdisrespectectから生まれた表現だそうだ。いったい誰が言いだしたのかとおもうが若い人だけが使っているらしい。最後の3つは聞いただけでは意の見当がつかない。隠語みたいに聞こえる。
日本語は「する」を名詞につけて動詞化するのは簡単だし、そのように使われている例は枚挙にいとまがない。便利といえば便利な点である。
その他に、慣用句の使い方についても調べたそうで、慣用句本来の意味からずれてしまっているのが面白い。
「世間ずれ」は「世の中の考えからはずれている」という意味に取っている人が55.2%もいるというので驚いた。
「まんじりともせず」を「じっと動かないで」だと思っている人が51.5%もいるのも驚きだが、この言葉はあまり使われなくなったのかもしれない。
「煮詰まる」が「(議論が行き詰まり)結論が出ない状態」と解釈している人が40%もいる。
以前「情けは人のためならず」を文字通り「情けを掛けた相手の人のためにならない」と取る人が多いと評判になったが、こうした調査結果を見ると、時代とともに言葉が変わって行く様子が窺えて面白い。
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言葉は時代により変化して当然ですからこれからも新しい表現が出てくるでしょう。そして意味を取り違う例も出てくると思います。
投稿: らら | 2014年9月28日 (日) 11時16分
国語世論調査の結果はラジオのニュースでも報道されたので興味深く聞きました。英語にも同じように
doするという動詞にlaundry(洗濯)shopping(
買い物)sweeping(掃除)studying(勉強)をつけて夫々洗濯する、買い物する、掃除する、勉強するという意味になり、しかもそれがより英語的な表現だそうです。studyだけでいいのにわざわざdo studyingと言うのは私の勝手な判断ですが、より
強調する狙いがあるのではないかと思います。ただ英語の場合も口語的表現にとどめた方がいいという場合もあるので注意が必要です。
投稿: toshi | 2014年9月27日 (土) 08時24分