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2014年5月 6日 (火)

憲法記念日のトークセッションに参加―②―若者が参加できない理由

 もう一人のパネラー、大内裕和中京大学教授は、違う観点から問題提起をした。「若者はなぜ憲法集会に参加できないのか」というタイトルであった。


 「参加しない」ではなく「参加できない」としたのは、「しない」は自分の意思であるが、「できない」なら外部的理由があることを示唆するからであることがわかる。

 大内教授はレジメを配られたが、それには3つの理由が書いてあるので、以下に転記する。

1.大学生の貧困の深刻化
 東京地区私立大学教職員組合連合にによる学生生活調査。首都圏の15私立大学・短大の新入生の保護者を対象に2013年に実施したもの。それによると、自宅外通学者は約4割。仕送り額は月平均8万9000円で、1986年度の調査以来過去最低だった前年度より、さらに900円下がった。

 仕送り額から家賃を引いた生活費は1日平均937円。2年連続で1000円を割って、過去最高だった90年度の2460円の半分以下である。

 集会に参加したくても、学生でも前売りで900円の参加チケットをこれで買えると思うかという話であった。

 後の質疑では、中京地区でもアルバイトをしながら学費を稼ぎ、自宅通学している高校生が増えていると言い、アルバイトのシフトで休めなくて学期試験に欠席する大学生も出てきていると話していた。
 先日のNHKスペシャル貧困化する若い女性でも同じようなことを取り上げていた。

2.有利子奨学金受給者の急増 
 政府は、1984年に有利子奨学金を導入、1990年代後半以降、一般財源の無利子枠は拡大せずに、有利子枠のみ、その後の10年間で10倍に拡大させた。

 奨学金を借りている大学生の割合は1998年の23.9%から2012年には52.5%に増加。
 1998年度 無利子奨学金39万人、  有利子奨学金11万人 計50万人
 2012年度 無利子奨学金38万人、有利子奨学金96万人、計134万人
 4年間で一人380万円にもなり、就職できない場合はアルバイトなどで返すことになり大変だという。

3.ブラックバイト・全身就活・ブラック企業
 ●ブラックバイト(NHKナビゲーション2014年4月27日放送「アルバイトが学生生活を脅かす」)でも取り上げられた通りである。

 学生であることを尊重しない働かせ方。低賃金であるにもかかわらず、正規雇用労働者並みの義務やノルマ、重労働を課されるアルバイトのこと。非正規雇用労働の基幹化が進む中で登場した。残業代の未払いや学生生活に支障をきたすほどの長時間労働などが行われることが多い。

 ●全身就活
 大学3年に入ると、すぐに就職活動開始。就職に自分のあらゆるリソースを注ぎ込む。大学4年間の後半が就職活動に費やされることもある。

 ●ブラック企業
 若年労働者を使い潰す企業の登場。

 以上のことから、今の若者は憲法集会とか原発集会などにとても参加する金銭的、時間的余裕がない者が多い。

 安保の頃は経済が上り坂であったが、この20年間は下り坂であることも影響しているようだ。

 ◎憲法26条「教育を受ける権利」
 ◎憲法25条「生存権・社会権」
 これらがまともに実現することが大事だという指摘は私もまったく同感である。

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コメント

 私の若い頃も私も含めて多くの人が苦学生でしたがその頃よりひどい感じです。

 現代の若者の窮状について少しは知っているつもりでしたが、大内教授のデータをもとにした話は、さらに問題の根の深さを教えてくれます。 
 大学生の貧困化。有利子奨学金受給者の急増。
 日本の大学学費は世界一高く、日本の公的奨学金は全て貸与制でその7割は有利子だそうです。奨学金を借りた学生は、卒業と同時に多額の借金を背負い、利払いに追われる。
 若者にとって何よりも就活が大切で、神経をすり減らしている。しかもへたをすると、ブラック企業の落とし穴が待っている。
 年代別では20代の自殺がいちばん多いそうで、若者がいろいろな事に苦しめられているのだということがわかりました。
 我々大人はもっと若者について知らねばと思います。
 

 働く人の収入を安定させ、それを消費につなげていくのが本当の成長戦略だと思うのですが。

今年の春、ベースアップした企業が多くなったと、安倍総理はアベノミクスの効果を喧伝している。誤解を恐れず言えば、本来ベースアップしなくてもいいような大企業が積極的に実施し、本当にベースアップが必要な中小、零細企業はそれほどでもなかったというのが実態のように思える。かくして格差は開く一方である。アベノミクスに一貫して批判的な浜矩子氏は政治がなすべきことは成長戦略ではなく、所得再配分政策だと主張しているが、その通りである。ただ昨今、労働需給が逼迫し(人手不足)賃金は上昇傾向にあるとのことである。

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