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2014年4月22日 (火)

砂川事件最高裁判決と限定的集団的自衛権行使容認論

 安倍首相の悲願である、憲法9条の廃止と集団的自衛権行使は、憲法改正はすぐには無理だと考えて、憲法の解釈を変更して、集団的自衛権行使を可能にすべく閣議決定をしようとしている。

 それに対して公明党が煮え切らない態度なので、高村元外相が1959年の砂川事件の最高裁判決が有力な論拠になると言った。この高村発言は、朝日新聞によると、外務省の幹部の入知恵だそうだ。「砂川判決が限定容認論を支える知恵になると高村氏に提案した」と話したそうだ。

 当時の最高裁判決では、個別的自衛権について述べただけで、集団的自衛権については全く考えられていなかった。以来歴代自民党政権も個別的自衛権だと言ってきたのである。

 それを安倍首相は、何とか集団的自衛権行使容認にしようと折に触れ取り上げて、今回圧倒的多数で国会を握ったのを機に、一挙に解釈変更をしようとしているのだ。しかも閣議決定というやりかたで。

 高村発言を境にして、限定的集団自衛権行使論が自民党内に増えたといわれる。またこれなら公明党も賛成するだろうと踏んでいるようだ。

 この点に関して、憲法改正論者の小林節慶応大名誉教授は、朝日新聞で「権力による憲法泥棒」だと厳しく批判している。

 そして「憲法解釈の変更だけで集団的自衛権の行使を認めて自衛隊の活動の縛りを解けば、無条件に海外派兵される道を開くことになる。いくら限定的といっても一度認めてしまえば、日本はいずれ米国の要請で世界中の戦争に関わる国になりかねない」と警鐘を鳴らしている。私もそうなることを最も恐れている。

 もう1つ非常に重要なことが朝日新聞社会面に書いてあった。それは砂川判決の一審を担当した松本元裁判官が、2008年以降、米国で開示が進む公文書の中身に愕然としたということである。

 判決前に、当時の最高裁長官が米国側と連絡をとり、全員一致で一審の無罪判決を破棄する意向を伝えたというのだ。

 判決の前に米国に伝えるという耳を疑うようなことが平然と行われたというのだ。最高裁判所は憲法の番人である。それが政治的な動きをして裏で米国の意向に従っていたというのである。日本の最高裁までもが国民の利益に背きアメリカの顔色を窺っていたということが暴露されたのである。

 アメリカは何とかして集団的自衛権行使ができる日本にしようとしている。それに応えようと必死なのが安倍政権である。

 特定秘密保護法ができたし、国民にとって死活の問題も秘密として知らされなくなるであろう。恐ろしい時代になったものである。

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コメント

集団的自衛権により海外派兵されて犠牲者になるのは若い人たちです。もっと若い人が関心を持ってほしいと願っています。

イギリスはアメリカの要請に基づきイラク戦争に派兵し多くの犠牲者を出した。ブレア元首相はその責任を問われ、独立調査委員会で厳しく糾弾されていることは周知の事実である。お隣の韓国もアメリカに協力してベトナムへ派兵したし、湾岸戦争、イラク戦争でも兵員を送った。アフガンも同じである。
これらが集団的自衛権の行使が承認されれば、日本もイギリス、韓国のようにアメリカの要請に基づいて海外に派兵し、時には大きな犠牲を払うことは大いにありうることである。安倍政権の高支持率からして閣議決定による集団的自衛権の行使は承認される公算が大である。イラク戦争でイギリスが被った多大な犠牲を日本も払うことがありうることをしっかり認識すべきだと思う。

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