市場にアベノミクス離れという興味深い記事
2月25日の朝日新聞「経済気象台」という小さなコラムに、「市場にアベノミクス離れ」という記事があった。読んでみると興味深い見方なので紹介することにした。
国内外にアベノミクス離れというべき現象がみられる。海外メディアは「アベノミクスへの失望」を書き始めている。いくら待っても、成長戦略や規制改革だどの分野で実効性のある「第3の矢」が出てこないことが大きい。
市場にもこの現象が広がった。米国が量的緩和の収束を図り始めたことから、グローバルマネーは新興国から先進国へ回帰しているが、その行き先が米国や欧州に偏り、日本は敬遠されている。
欧米の株価は昨年の最高値に迫っているが、日本では今年、ピークから一時14%も下落した。
そこで日本銀行は2月18日、貸出しスキームを1年延長するとともに、成長支援貸し出しを2倍の2兆円に拡大した。国内に成長のタネもないのに貸し出しだけ増えるかという懐疑的な見方が多かったが、発表当日は株価は大きく上昇し、為替は円安に向かった。
この貸し出しスキームは、ヘッジfンドの円キャリー取引を意識したもので、彼らが低金利融資を利用して日本株を買い、あわせて為替ヘッジの円売りをしてくれることを期待した窮余の一策であった。
ヘッジファンド自身はその趣旨を理解していたから、謝意を込めて株を買い上げたが、成長のタネがなければ、このスキームも使えず、株の押し上げ効果も限られる。
これで時間を稼いで次の手を打たないと、安倍政権誕生以来17兆円も日本株を買い越した海外投資家が見切り売りに出る懸念もある。
現に今年1月には1兆円を売り越した。まだ16兆円も残っている。それが売られると安倍政権はひとたまりもない。期待されているのは、借金して需要をつくることではなく、成長のタネをまくことだ。
●ネットには次のような指摘も出ている。
①今年に入って海外勢の日本株に対する買い姿勢が消極化している。昨年は日本株を15兆円買い越したが、今年は前週まで1兆1000億円の売り越しに転じた。海外勢の一部にはアベノミクスへの関心が低下していると明確に指摘する声もある。
②外国人の日本をみる目も厳しくなってます。有力新興国を「BRICs」と最初に呼んだ英エコノミストのジム・オニール氏(前ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長)は、2月7日のインタビュー記事で、最近の日本株の下落について、“円安が進んだ昨年は楽だった。今年は簡単ではない。安倍晋三首相は第1の矢(の金融政策)は忘れることだ。これ以上の円の下落を他国は受け入れない。第3の矢となる女性活用、労働供給力の強化、生産性の向上に真剣に取り組まねばならない。安倍氏は強い言葉こそ発しているが実行する証拠がない”としています。
この意見・見方が、外国人投資家の代表的なものなのでしょう。
とはいうものの、ヘッジファンドは巨額の金を運用して儲けを企む連中だから、アベノミクスであろうと何であろうと儲けのタネがあればいいということである。堅実な経済発展とは無縁な存在だ。
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