橘座公演―瀧川鯉昇独演会
10日に、中区東別院の近くの愛知産業大学工業高等学校橘ホールで、秋の落語公演があった。出演は瀧川鯉昇で前座は弟子の瀧川鯉斗が務めた。
橘座公演は春、秋の2回あり、私は楽しみにしている。今回は日曜日なのでよかった。私は12時過ぎに会場へ行ったのだが、天候が悪いせいか予想より観客が少なく、空席が多少あった。
前座の鯉斗は小話を語った。聞き取れない部分があったのでマイクの調子が悪いのかと思ったら、鯉昇が喋った時ははっきりと聞き取れたので、鯉斗の発声がよくなかったのであろう。学生落語の延長という印象で、これからの修行が大切だ。
瀧川鯉昇という落語家は初めて知った。落語家は500名ぐらいいると思われるので知らない落語家がたくさんいる。鯉昇もそのひとりだ。高座で今年還暦になったと話していたが、見かけは本人も自認するように老けて見える。あまり期待していなかったが、噺は意外にも面白かった。
前半は、履歴など長い前口上の後、本題の「茶の湯」に入った。根岸に隠居の家を買った大店の主人が小僧の定吉と一緒に茶の湯を始めるという話である。隠居も小僧も茶の湯の知識は全くなく、ただ買った家に茶の湯の道具や茶室があったのでそれを使おうということで始まる。
抹茶として小僧が青黄粉を買ってきて、それでお茶を立てるのだが、泡が出ないので石鹸を買ってきてそれを入れて泡を立てる。それを我慢して飲んだので二人ともひどい下痢をする。
せっかく茶の湯を始めたのだからと店子3軒に招待状をだす。もらった方は茶の湯の知識がないので恥をかくのが嫌で店子を辞めようとする・・・・・というような、ナンセンス噺である。お茶を飲むときの仕草で笑いをとる仕草噺でもある。
お仲入りのあと、2席目は衣装を変えないで高座に上った。鯉昇は話の途中で羽織をぬぐこともしない。
今度は前口上なしにいきなり本題に入った。江戸の夜回りの噺で、番屋に集まって2つのグループに分かれて夜回りをする。その一つのグループが、酒や猪肉を用意して来て、役人に内緒で酒を飲み猪肉鍋を食べるという噺である。
その様子を仕草を面白く演じるのだ。1部2部とも仕草を取り入れた噺であるところを見ると鯉昇は仕草噺が得意のようだ。顔の表情や動作も大変上手に演じていて客席は笑いが頻繁に起きた。
酒を飲み肉を食べていると役人が来たので見つかってしまう。それでせんじ薬を飲んでいたと偽ると役人は風邪を引いているからそれを飲みたいという。役人は酒をみんなのみ肉もみんな食べてしまう。オチは「二番煎じをたのむ」という「二番煎じ」という噺であった。オチが題名になっている珍しい落語であった。
●瀧川鯉昇 HP http://www6.ocn.ne.jp/~risho/
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