特定秘密保護法案の危険性―孫崎享さんの指摘
今国会で審議中の特定秘密保護法案は、成立すれば知る自由が無くなり、ものを自由に言えない世の中になると思われる。だから何度でもその危険性を訴えたいのだ。今回は外務省元国際情報局長の孫崎享さんの指摘するところを取り上げる。
孫崎さんは、日本で秘密が漏えいし、日本の外交や安全保障の大問題になったことはないと言う。この法律を作るのはアメリカの要求に応えてのものだというのだ。
2005年に日本政府は、日米安全保障協議委員会(日米の外務と軍事の閣僚級会合=「2プラス2」で、秘密保護強化をアメリカに約束した。ただ、その具体化が進んでいなかった。集団自衛権を行使できるようにしたい安倍政権になって急加速したのだ。
10月の「2プラス2」で、集団的自衛権の行使への検討と共に秘密保護法案を進めることで合意をした。
アメリカは、集団的自衛権の行使で、自衛隊が米軍といっしょに戦争をする場合に、米軍の情報が漏れないようにしたいのだ。自衛隊は米軍を守る傭兵のようなものだという。
米国の言いなりに秘密保護法案のような動きをしている国は、日本以外にはないと思うと言っている。日本はアメリカに軍事的に隷属しているからだ。
世界は情報開示の方向である。米国が盗聴をしてきたことに、ドイツ、フランス、ブラジルなどで怒りが高まっている。スパイ防止を考えるなら米国に対してのはずだ。
米国内でもNSAの秘密工作には、民主主義を壊すものとして批判が強まっている。それなのに日本では民主主義に反する体制が強化されようとしているのだ。
日本に必要なのは、秘密保護よりも情報開示の体制である。
アメリカの言いなりになる日本ついての、孫崎さんの指摘は的を得ていると思う。アメリカには情報を提供し、日本での情報収集を自由にさせておきながら、国民には壁を何重にも張り巡らしたブラックボックスに「秘密」を隠して、近づく者を厳罰に処するという恐ろしいものなのだ。
日本弁護士会では、秘密について、「何が秘密ですか?それが秘密なのです」という名言を紹介している。
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特定秘密保護法が22日に強行突破する
特定秘密保護法が成立する
投稿: 特定秘密保護法案 | 2013年11月19日 (火) 02時26分
古賀、野中、加藤浩一、河野のようなリベラルが自民党にいなくなり、小選挙区制で首根っこを押さえられた議員ばかりで、自民党はその駄目になりました。民主党の凋落は駄目な自民に息を吹き返らせとんでもないことになりました。
投稿: らら | 2013年11月18日 (月) 12時14分
昨日の時事放談番組で元自民党の重鎮の古賀誠氏と野中正義氏が、他に喫緊の課題があるのに、なぜこの法案の成立をそんなに急ぐのだろうと苦言を呈していた。また今の自民党の中にこの法案に公然と反対する議員がいないのもおかしい。その意味で村上誠一郎議員(自民党)がこの法案に異を唱えたのは
立派なことと評価していた。古賀、野中両氏は2003年、イラク特措法改正案に反対して採決の際、退場したのである。村上議員に言わせると今の自民党は「小選挙区制では党が公認、カネ、人事の権限を握る。政治家の良心として言わねばならないことも言えなくなっている」と話している。「モノ言えば唇さむし秋の風」の心境なのだろうか。
投稿: Toshi | 2013年11月18日 (月) 11時23分