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2013年8月26日 (月)

映画「少年H」

 映画になった「少年H」を見に行った。以前に小説を読んだことがあるが詳細は覚えていない。だから小説のどの部分をどのように映像化したかを確かめることはできなかった。

 観終わっての感想は、神戸の洋服屋の家族があの戦争に捲き込まれ、その中で生き抜いて行く様子が生生しく描かれていた。戦争というものがどんなに過酷なものか、人をどんなに変えてしまうのかが映像を通して心に迫って来るものであった。

 水谷豊演じるお父さんは、物の見方や考え方が柔軟で人間性の豊かな父であり、伊藤蘭演じる母親は敬虔なクリスチャンとして、他の人にも愛を分かつ優しい人柄である。二人の演技は役にぴったりとはまって、自然に雰囲気を醸している。

 少年H役の吉岡は懸命に演じているが、降旗監督は当時の状況をよく説明して演技の指導をしたという。

 B29の神戸爆撃のシーンや住んでいた街が炎上するシーンはどのようにして撮影したのか知りたかったが分からなかった。多分CGを使ったのだと思われる。実際はあんなに周囲が激しく燃えているのにミシンを運び出したり、しゃがみ込んだりはできないはずであのシーンは非常に不自然である。CGの合成だからであろう。

 焼け跡に父親が来て少年Hと出会うシーンはよくできていたが、はるばる韓国のパプチョン映像センターまで行き、2日間燃やして焼け跡を作り、撮影時は本当に火を燃やした中での映像だと知ってなるほどと思った。

 少年Hが通った国民学校もセットにしてはよくできていると思ったが、栃木県に現存する粟野中学校を借りて撮影したそうだ。

 少年Hが入った中学校は、奈良県の畝傍高校の外観を使い、内部は京都の立誠小学校での撮影という。

 妹尾洋服店がある町並みも見事に造られており、セットなら大したものだと思った。実際は加古川市に残るニッケ社宅群を利用して再現したものらしい。

 妹尾洋服店も実際のものを再現しているのだそうだ。こちらはセットである。

 画が好きな少年Hが描いた絵を軍事教官がけなしてピンタを食らわせるシーン。おかまの男性が徴兵されて、逃げ出して自殺するシーン。父親がスパイ嫌疑で警察に連行されるシーン。音楽の好きなお兄ちゃんが特高に連れて行かれるシーン。その他キリスト教を信じていることを隠さなければならなくなる時代背景・・・・など、戦争の激化によって罪のない市民の生活が脅かされていく様子が克明に描かれている。

 警察から帰った父親が、同じくスパイだと友達に言われて憤慨している少年Hを2階に呼んで、戦時下における心の持ちようを語る場面は、この映画の大事な山場だと言われるが、父親の言葉が心の中に入ってくる。

 少年Hの中学校での教練であるが、疑似銃の班と本物の銃の班があったと描かれている。私は当時の中学校のことは知らないが、実弾の銃を扱う教練があったのだろうか。軍事教官が二通りいて、一人は戦時下に追従し、中学生を軍人に仕立てようとする。もう一人は戦争に懐疑的で少年Hをかばってくれる。ホッと救われる出来事であった。

 違和感を覚えたことを書いておきたい。1つは父親や教官の頭が坊主頭でないこと。2つ目は、おにぎりが大きくて数が多いこと。当時はおにぎりを大きく作る習慣があったからだとHPで説明しているが、食糧難の時代にお米は貴重なものであんな贅沢ができるはずがなかった。

 戦時中の妹尾家の食事場面も食べ物が良すぎる。私の記憶では、食べ物が少なくて大変苦労をしたからだ。

 安倍内閣になって、集団自衛権発動を可能とする地固めが着々と行われている。その先には平和憲法を改悪して国防軍を設置することが見据えられている。そんな時期に「少年H」は時宜を得た映画だと思う。できるだけ多くの人に見てもらって戦争がもたらす悲劇、悲惨さを疑似体験してもらいたいものである。

 少年Hのポスター

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コメント

 小説もいいですが、映画もよくできています。

「少年H」は上下刊で340万部を超えるベストセラー小説だったそうですね。私は作者の妹尾河童という人物(名前は肇だったがあだ名を本名に変更)が以前テレビに出演した際、飾り気がなくとても面白いキャラクターだったので強く印象に残っています。それで、図書館で「河童の覗いたインド」という旅行エッセイを読んだところ結構面白く、その後「覗いたシリーズ」が続々と刊行されました。
遅まきながら「少年H」をこの機会に読んでみたいと思います。

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