意味不明な「日本を取り戻す!」―取り戻すのはどんな日本か?
日本の未来を決める参議院選挙も中盤を過ぎた。マスコミによると、自民党・公明党の与党が過半数を制するようである。これはひとえに民主党が退潮し、野党がバラバラとなって乱立した結果である。
街を歩くと安倍首相の大きな顔写真に、「日本を取り戻す」というキャッチフレーズをあしらったポスターが目に入り、新聞広告にも同じものが見られる。
「日本を取り戻す」というキャッチフレーズを見たとき、私はすぐに「取り戻す日本って、いったい何だろう」と思った。
日本を取り戻すというが、どんな日本を取り戻したいのかが全く不明なのである。それについての説明が欲しいが、新聞などを見ていても分からない。
取り戻したいのは、自民党・公明党政権時代の日本の状態なのか、それとももっと前の、ひょっとすると戦前の日本なのか?
自民党の憲法改定案を見る限り、どうも取り戻したいのは、戦前の日本のようである。理由はいくつかある。
○天皇を元首とすること。
○国防軍を創設し、戦争ができるようにすること。
○公共の利益の名の下に、表現の自由や集会結社の自由や基本的人権を制約すること。
○個人や家庭の自己責任に委ねること。
などなどが書いてあるからである。
しかし、安倍首相は、憲法については殆ど触れない。むしろタブーとしているようである。選挙が終わるまでは、憲法改定には口をつぐみ、参議院選挙で勝ったら一気に憲法改定をやろうという魂胆のようである。
取り戻したいのが戦前の日本であるとすれば、彼の考えはアナクロニズムであるが、選挙で勝てば信任されたとして、やりたいことをやるに違いない。
国民は「取り戻す日本」の中身をよく考えて、耳触りのよいフレーズに惑わされないようにすることが大事である。
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30歳台以下の若い人、つまり将来の日本に生きる人たちが政治に関心を持ち腰を上げて投票に行ってもらいたいと思います。自分たちの将来がかかっている重大な選挙だからです。
投稿: らら | 2013年7月14日 (日) 10時36分
各紙の調査によると消極的支持を含め安倍政権を支持する有権者は過半数を超えている。ただその中でも憲法改定、特に96条さらに9条そのもの改定に
ついては支持者の中でも反対意見が多い。最近、自民党も選挙運動の中であまり憲法問題に触れなくなったのもこうした有権者の意識を配慮したものである。ただ選挙で勝てば、結果オーライで、国民は96条も9条も含めて憲法改定に理解を示したといい募りそうである。牽強付会とはまさにこのことであろう。かといって自民党に投票したくない有権者はどの政党に投票すればいいのであろうか。どう考えても投票率はあがりそうもないと思われるが?
投稿: Toshi | 2013年7月14日 (日) 06時31分