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2013年7月 4日 (木)

世界平和アッピール7人委員会声明―②―

 このほかにも、以下に取り上げる項目を含め見過ごすことのできない多くの改定がもくろまれています。

 第三章の「国民の権利及び義務」の改定草案では、「公益及び公の秩序」が繰り返し強調され、国民の権利を著しく制限する一方、義務を拡大することが目論まれています。草案は、主権者である国民が政府の行動を規制するという近代国家の憲法の理念に反し、国民主権を事実上放棄させて、政府に国民を従属させる構造になっています。現行憲法の下でさえ、政府は、米軍基地の沖縄県への押し付けを、県民の一致した意見を無視して続け、福島第一原発の事故状況が未解明のままであり、福島県民が将来への生活設計を全く立てられない苦悩の中にいるにも関わらず、この事態を無視して、原発の輸出に熱中し、国内での原発推進を公然ともくろむなど、さまざまな場で国民の基本的人権の蹂躙を繰り返しています。草案はこの動きを一層加速させるものであり、支持することはできません。

 また現在、選挙区ごとの人口格差について、政府と国会が是正をしないままでいるため、憲法違反の状態が続いています。草案第四十七条には「各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」という条項が追加されているため、人口格差が大きい現在の違憲状態をそのまま合憲として定着させてしまうことになります。

 現行憲法第五十六条では、両議院の各々が、議員の3分の1以上の出席がなければ議事を進めることができないとされていますが、この規定の削除が提案されています。この改定は、議論の内容の重視でなく、議事を進めるという形式の重視に導くものです。

か つての日本では、軍部が政治に介入し深刻な弊害をもたらしました。そのため現行憲法第六十六条で、すべての大臣は文民でなければならないと定められ、自衛隊員にも適用されています。国防軍を設置しようとする草案では、「大臣は現役の軍人であってはならない」と規定されています。これでは、現役を退くことによって翌日から大臣になれることとなり、いわゆる文民統制は完全に空洞化されることになります。


 さかのぼれば、アジアなどの非西欧諸国は、欧米を中心につくられた近代国家が行った侵略主義・植民地主義・覇権主義の犠牲になってきました。そのアジアの中で、明治以来の日本は、米欧諸国と肩を並べる近代国家を構築しました。しかし、日本が自ら近隣諸国に兵を進めて植民地化してきたことは、残念ながら否定できない歴史の事実です。これを反省し、現行憲法前文で「全世界の国民が・・・平和に生きる権利を有することを確認」したことによって、近隣諸国は、日本との武力衝突を考慮する必要がなくなったのでした。そして、高度な技術を保有する日本が、武器の輸出を抑制してきたことも、多くの国と市民から高く評価されてきたところでした。

 世界平和アピール七人委員会は、1955年の発足以来、日本と世界の平和を求めてアピールを発表してきました。それは、日本・アジア・世界の歴史的経験を踏まえて到達し、日本国憲法の前文にうたわれている基本理念を発展させようとの一貫した努力であり、現行憲法制定の前年に発足した国連憲章の基本的理念とも一致するものでした。 1945年の敗戦以後積み重ねてきた平和を愛好する国としての日本の努力と成果を、敗戦と被占領の不本意な結果だとして否定し去ろうとする動きによって消し去るという過ちをおかしてはなりません。


連絡先:世界平和アピール七人委員会事務局長 小沼通二

メール: mkonuma254@m4.dion.ne.jp
ファクス:045-891-8386


 PDFアピール文→ 109j.pdf

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