スタンフォードの自分を変える教室―⑧―マシュマロテスト
将来の報酬を割り引いて考えてしまうのは人間の性だが、割引率は人によって違う。しかし、それによって長期的な健康と成功が決まるというのだ。
1960年代後半というから50年以上も前のことになるが、スタンフォード大の心理学者ウオルター・ミシェルは「マシュマロテスト」という心理学実験を行った。
4歳児にマシュマロをすぐに1個貰うか、15分待って2個もらうかを選ばせた。待てなくて一個を食べた幼児はマシュマロをじっと見つめて、どんな味がするのか想像していた。15分待てた子たちは、いろいろな方法でマシュマロを見ないようにしていた。
この実験は子どもの将来を予見する方法としても優れていることがわかった。その子どもの将来の学業成績や社会的な成功を物語っていた。長く待てた子どもたちは、10年後人気が高くて成績もよく、ストレスにもうまく対処していた。学力検査(SAT)や前頭前皮質の機能を測定するテストでもよい成績を収めたのだ。
不愉快なことをいっとき我慢して、長期的な目標を達成することができるかどうかで人生にも大きな違いが現れるというのだ。
将来の報酬に対する割引率が高い(目先の誘惑に負けやすい)人たちほど、自己コントロールに関してさまざまな問題を抱えやすくなる。
タバコの吸い過ぎ、酒の飲み過ぎ、薬物使用、ギャンブルなどの依存症になるリスクが高まる。老後のための貯金もほとんどぜず、飲酒運転や無防備な性交渉をする確率も高くなる。やるべきことを先延ばしにする傾向も強くなるという。
個人の割引率は、選択についての自分の考え方を変えるだけで、下げることができると言っている。しかし、それは意志力の弱い人には非常に難しい選択になるだろうと思われる。
もし、幼児の段階で予見できるとすれば、子どもを観察することによって、その子が目先の誘惑に負けやすいか、辛抱できるかを見分けて、もし、弱い場合は意志力を強くするように指導し援助してやることができると思う。
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