トリクルダウンは騙しのマジックではないのか?
6月27日の朝日新聞「安倍政治を問う」という記事の中に、アベノミクスは「トリクルダウン(滴がしたたり落ちる)」という手法だと書いてあった。
トリクルダウン?初めて聞く英語である。この1日前に岐阜県可児市の「日本語を大切にする会」の高橋さんが、NHKを相手取って、外来語を使いすぎるから精神的にダメージを受けたとして、訴訟を起こしたという記事があった。NHKだけでなく、マスコミはみな外来語を多用しすぎる。それについては故井上ひさし氏がつとに指摘していた。
外来語の多用は困るが、このトリクルダウンも分かり難い言葉である。ただ記事には、「アベノ滴(しずく)はどこまで落ちる?」という分かりやすい絵が載っている。(下図参照)
この図を見て、確かマジックにこういうのがあったことを思い出した。マジックの場合は一番上のグラスに注いだワインが、一番下のグラスまで届いて、すべてのグラスを満たすのである。実にきれいなマジックである。
ところがアベノ滴トリクルダウンは、注いだ「円安・減税」というカンフルワインと「株高」というワインが、どのグラスまで行くのかがはなはだ疑問だというのだ。
クロダノミクスによる金融緩和と異次元金融緩和薬によって、トヨタ、日産、マツダなど自動車産業を始めとして輸出系大企業と株を保有していた、鳩山兄弟のような資産家にはグラスから溢れるほどの恩恵があった。
次のグラスの一部中小企業、大企業の社員、デパートなどは多少のおこぼれが届いた。中小企業の取引が増えるとか、社員のボーナスが増えたとか、デパートでは高級品が売れるなどの恩恵である。
ところが、下にあるグラスで表される地方・農家、漁民、多くの中小企業、多くの家庭、年金生活者のところまでは、回って来るのかどうかさえ怪しく、むしろ農家、漁民は円高で肥料や飼料、石油などの高騰で困っているし、中小企業も円安で喘いでいるところが増え、倒産する数も増えた。
給料は上がらないし、雇用が増えるわけでもなく、生活保護受給者は216万人になった。我々年金生活者も9月からの年金減額が待っている。
悪いことに物価が次々に上がり始めた。それについては先日のblogで書いた通りである。
アベノミクスは、アホノミクス、ダメノミクスと揶揄され、外国からはアベマゲドンとまで言われている。
結局一時的に輸出の大企業が潤い、株を大量に持っていた資産家が儲かっただけである。
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コメント
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参議院選挙は間もなく告示ですが、選挙民の多くはアベノミクスにまだ期待をしているようです。対抗馬がない現状では低投票率の下で自公の勝利になるのでしょう。
投稿: らら | 2013年6月28日 (金) 09時11分
あれだけアベノミクスを礼賛し、早くあなたも推奨する株を買いなさいと煽りたてた週刊誌が、最近ではのこの経済政策は完全に失敗であり、世界からも物笑いの種になっているとの見出しが踊っていた。
その変わり身の早さというか、定見のなさにはあきれるばかりである。間近に迫った参議院選挙ではこのアベノミクスの是非が問われることになるが、それでも自民党は圧勝という予測がもっぱらである。それは他の政党があまりにも弱体化しアベノミクスに代わる素晴らしい経済政策を提示する能力もなく、多くの国民は期待すらしていないのである。その結果、都議選と同様、投票率は下がり、相対的に有利になった自公が大勝しそうな気配である。国民は自公政権にさらなるフリーハンドを与えることになるのであろうか??
投稿: Toshi | 2013年6月28日 (金) 06時41分