こなれた翻訳で読める「スタンフォードの自分を変える教室」―①―
以前にNHKのスーパープレゼンテーションで、アメリカスタンフォード大学のケリー・マクゴニカルという心理学者のプレゼンテーションを聞いて、もっと詳しく知りたいと思っていた。
娘の家に行ったとき、彼女が書いた「スタンフォードの自分を変える教室」が置いてあったので借りてきて読み始めた。この本はマクゴニカル氏がスタンフォードで実践していることを書いたものである。神崎朗子さんの翻訳が大変読みやすい。
彼女がやっているのは、「意志力の科学」という講座で、スタンフォード大学生涯教育プログラムの公開講座である。
「この講座では、心理学、経済学、神経科学、医学の各分野から、事故コントロールに関する最新の見解を取り上げ、『どうしたら悪い習慣を捨てて健康的な習慣を身につけられるか』『物事をぐずぐずと先延ばししないようになれるか』また、『集中すべき物事を決め、ストレスと上手に付き合うにはどうしたらよいか』を説明します。
そして、『私たちはなぜ誘惑に負けてしまうのか』『どういしたら誘惑に打ち勝つ強さを身につけられるのか』を解き明かしていきます。
また、自己コントロールの限界を理解することの重要性を説き、『意志力を鍛えるための最適な方法』を紹介します。」(P.16)
この本は、『もっとも優れた科学的な見解」と、「講座で行った実践的なエクササイズ」を融合したものだと書いている。まだ、第3章まで読んだだけであるが、そのことがよく分かる。
彼女のスタンフォードでのレクチャー4週間後のアンケートでは、97%の受講生が、自分自身の行動を以前よりもよく理解できるようになったと感じ、84%の受講生が、授業で学んだ方法のおかげで、以前より意志力が強くなったと回答しているそうだ。(P.17)講座終了時には、「人生を変える授業だった」という感想が寄せられたという。
イントロダクションには、「自分を変える教室にようこそ」と書いてあり、「―意志力を磨けば、人生が変わる」と小見出しが付けてある。
そうなのだ。「意志力」、これがキーワードである。意志力とは何かという説明があり、それを磨く方法が述べられる。
世の中のHOW TOものの本は、目標設定と達成するにはどうすべきかを説いているがそれではだめだという。「やるべきことはわかっているはずなのに、なぜいつまでもやらないのか」を理解させてくれる本はほとんどないという。
「自己コントロールを強化するための最も良いい方法は、自分がどのように、そしてなぜ自制心を失ってしまうのかを理解することだ」と彼女は考えているというのだ。(P.20)
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著者はまだ29歳だと思います。若いのに文献を渉猟してまとめたのだと思います。アメリカは肥満社会だからかダイエットに関係した実験が多いように感じました。
投稿: らら | 2013年6月13日 (木) 08時37分
私はこの本についてまったく知りませんでしたが、インターネットでスタンフォードと入れただけで、関連のサイトがいっぱい出てきました。また図書館にも所蔵されており、順番待ちでした。現役時代から心理学に関するこの種の本はアメリカ人の著作が多かったように思います。アメリカは競争が激しく過度にストレス社会なので、それを克服するための心理学が研究され、発展していると聞いて何となく納得したことを思い出します。今更自分をコントロールし、意思力を強化しても、手遅れ?のような気もしますがぜひ読んでみたいと思います。
投稿: Toshi | 2013年6月13日 (木) 07時56分