TPPで怖いのはISD条項だ
安倍内閣が大急ぎで参加を進めているTPP。安倍首相は、「日本が主体的にアメリカと交渉した」と胸を張るが、本当のところは、アメリカに自動車輸入関税の温存を認めたことと、かんぽ生命保険に新規参入を認めないということで大幅に譲歩したのだ。アメリカ筋は、日本が頭を下げてきたと言っているそうだ。
日本の農業は大打撃を受けるとか、公的医療保険制度が破壊されるということが懸念されているが、その他に危険なのは、ISD条項によって外国企業により訴訟を起こされる心配があることだ。
4月24日の朝日新聞「教えて!TPP」は次のように解説している。「TPPに入れば、米国企業に裁判を起こされて巨額の賠償金を取られるのではないか。その心配のもとがISD条項だ。」
ISD条項(INVESTOR STATE DISPUTE SETTLMENT 投資家と国家の紛争解決)は、企業が投資をしている国が、協定を破って制度を変え、その企業が損をした場合、国際機関に賠償金を求めることができる仕組みだ。
この仕組みの怖さについては、朝日新聞は何も解説していない。「日本に賠償を求めるアメリカの企業が現れる恐れは否定できない」と述べるにとどまっている。朝日新聞などマスコミはTPP参加賛成だから本当のことは書けないのであろう。
この点について、友人が送ってくれた下記のYoutube「堤未果 政府は必ず嘘をつく」によると、NAFTA(北米自由貿易協定)の例をあげて具体的な数字で説明している。
アメリカの石油会社A社が有害な化学物質を添加した石油をカナダに輸出していたが、カナダはこの石油の輸入を禁止した。するとA社は損害を蒙ったとして、ISE条項にもとづいてカナダを提訴し、規制緩和と損害賠償を求めたのだ。結果カナダはこの裁判に敗れたのだ。そしてカナダは規制緩和と損害賠償をした。
ISD条項による訴訟件数と結果は、
○カナダ―米国企業からの提訴が28件あり、全敗しすべて賠償。
○メキシコ―米国企業からの提訴が19件あり、 全敗しすべて賠償。
○米国―カナダ、メキシコ企業からの提訴が19件あり、全勝し賠償ナシ。
このような驚くべき結果があるのだ。
提訴する先は、世界銀行傘下の「投資紛争解決国際センター」(ワシントン)である。この世界銀行はアメリカの支配力が強いことと、判決の基準が、その国の国民にとってどうか、環境にとってどうかではなく、企業の投資家にとって実害があるかどうかなのだ。企業寄りになっているのである。
この裁判は密室で行われ、さらに1回限りで上訴はできないのだという。だからアメリカ企業のやりたい放題になるのだ。
例えば、遺伝子組み換え植物は使っていないというパッケージの表記も米企業の訴えでできなくなるという。こうした問題は全ての分野に関係してくるから大変なことになるのだ。日本の規制や法律の変更を求められることになるのだ。
安倍首相と経済産業省が中心になってこの恐ろしいTPP参加を進めているのだが、我々国民はその怖さに気付かねばならない。後の祭りではすまないことなのだ。
TPPの怖さを伝えるYoutubeのアドレス:
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コメント
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一瀉千里で、TPP参加や憲法を変える動きに突き進むでしょう。気づいたらしまったでは何ともなりません。
投稿: らら | 2013年4月29日 (月) 10時37分
今はアベノミクスが水戸黄門の印籠のごとく誰もが
ひれ伏す状況である。今日の中日新聞にも安倍総理
公認本「アベノミクスの真実」という幻冬舎の新刊本が大々的に宣伝されていた。自民党内にもTPP反対の議員も大勢いるがこれも参議院選挙までで、
選挙後(自民党圧勝は確実な情勢である)はTPP参加交渉に向けて一瀉千里の動きとなりそうである。郵政民営化の時は離党覚悟で反対を貫いた議員もいたが、もうそんな議員は一人もいないであろう。アベノミクスが色あせないうちは全て現政権の思い通りにことが運びそうである。
投稿: Toshi | 2013年4月29日 (月) 08時31分