ロリ・ワラックさんの分かりやすいTPP参加の危険性の指摘
アジア太平洋資料センターのHPに、ロリ・ワラックさん(米国NGOパブリック・シチズン)の動画がある。そこで、ロリさんは大変わかりやすく、的確に日本のTPP参加の危険性について指摘している。
「日本政府がTPPに参加しようとしていると聞き、大変心配しています。ルール作りに参加する権利も、何に合意するのかを知る権利もないのに、参加しようとしているからです。
私たちの理解は、日本はこれまでの全ての合意を受け入れる―です。それは900ページもあるルールに、日本は既存の、また未来におけるすべての法制度を合わさなければならないということです。
貿易だけでなく、医薬品の価格、食の安全や食品表示、郵便の規制、エネルギーや輸送サービス、銀行、消費者の権利保障などの分野においてです。
何が書かれているか見ることもできず、たった1文字の変更も許されないままに、このルールを受け入れることが、日本がTPPに参加する際に要求されます。
なぜ安倍政権が、日本にとって、こんなにも無礼で危険なプロセスに合意しようとしているのか、とても不可解でなりません。
すでにTPP協定に参加をしている国では、強い反対運動が起きています。しかし、それらの国はすでに規定された条項が押し付けられるだけではありません。
日本の人々にとって、TPPへの参加は、二重の危険であり、二重の侮辱なのです。」
私たちは、2013年3月、シンガポールでのTPP交渉会合にて、これらのシナリオを裏付ける重要な情報を得ました(以下太字がその内容)。
シンガポールでのTPP交渉会合の中で、米国の貿易担当官が、日本の交渉参加が認められるための手続きについて、他国の交渉官に対して次のように述べた。
「日本は、カナダとメキシコがTPPに参加するために強いられた、非礼であり、かつ不公正な条件と同内容を合意している。つまり、事前に交渉テキストを見ることもできなければ、すでに確定した項目について、いかなる修正や文言の変更も認められない。新たな提案もできない」。
さらに米国の担当官は、日本の参加表明がなされた後、参加各国は日本との二国間協議を7月までに完了させるように、との指示も行なった。つまり、日本は7月の会合には参加できず、9月の交渉会合までTPP交渉のテーブルにつくことはできないということである。
9月の交渉会合は、TPP交渉国の首脳がAPEC会議にて集まり、交渉を「完了した」とサインするであろうといわれている10月の1か月前だ。しかも9月の会合は米国で持たれ、議長国は米国となるため、異論や再交渉の要求があっても、押えつけることが可能だ、と交渉担当官はいった。
この情報は、自由貿易の推進に反対する国際ネットワークである、パブリックシチズンや、ニュージーランド・オークランド大学のジェーン・ケルシーさん、日本のNGO・アジア太平洋資料センター(PARC)らが、シンガポールの交渉会合にて信頼できる情報源から入手したものです。
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コメント
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なかなか鋭い指摘ですね。情報を伏せてとにかくTPPに突き進むことに危惧を感じます。
投稿: らら | 2013年3月26日 (火) 11時33分
作家半藤一利氏の好著「日本型リーダーはなぜ失敗するのか」のなかで以下のような総括がある。大本営陸海軍部は危機に際して「今起きて困ることは起きるはずがない、いや、絶対に起きない」と独断的に判断する通弊がありました。今日の日本にも同じことが繰り返されている。(中略)とくに昔も今も共通してあるのは、エリート集団による情報の遮断と独占と知らんぷりではないでしょうか。
(後略)TPPへの参加に伴うリスクは起きては困る。いや絶対に起きないと思いこんでしまう傾向はおおいにありうると思う。そういう私自身もお上の考えることだからそれ程ひどいことにはならないだろうという、根拠のない楽観論があることを完全には否定できない。
投稿: Toshi | 2013年3月26日 (火) 08時33分