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2013年3月31日 (日)

最後まで面白くなかったNHK朝ドラ「純と愛」

 NHKの朝ドラ「純と愛」が始まって間もない頃「つまらないドタバタのドラマ」だと書いたが、最後までそのままであった。それでも視聴率は17%台を維持していた。

 26日の朝日新聞は31面で「純と愛」を取り上げて、4人のコメントを載せた。山本晋也監督、作家の山下柚実、マスコミ論の藤田真文法政大教授、ライターの田幸和歌子である。

 山本は「定番は主人公の一代記だが、今回は社会派、人間派の斬新な朝ドラ」と評価している。「騒々しくて固定客の年よりには不快だったかも知れない。」と語っている。

 作者の遊川和彦は朝ドラの革命を狙ったことは認める。しかし、その破り方、描き方はしっちゃかめちゃかでリアリズムがない。遊川自身はリアリズムが大切だと言っているみたいだが、私が考えるそれとは異なるようだ。

 田幸は、「登場人物も、主人公から純の父母に至るまで欠点を抱えた人だらけ。『朝からそんなもの見たくない』という視聴者もいるはずだが、醜さを抱えた人間はリアルで、誰にも思い当たる節がある。」と述べている。

 登場人物はリアルであろうか?愛も優秀な弁護士の両親も妹も他人を見通したり、感じ取ったりできるありえない超能力者だ。また、優秀な弁護士なのに母親は高圧的な物言いをする。

 純の兄は突然マッサージのゴッドハンドだったり、セクシーさんが突然優秀な美容師だったり、愛はたぐい稀なる料理の腕前や指物、電気などの腕を持っているとか、どうしようもない弟が俄然絵の才能を発揮し始めるとか、物語の展開に都合の良いようにありえない設定をしている。

 焼けたホテルで笑わない女性が優秀なデザイナーで、彼女が宮古に持っている別荘を貸してくれてホテルにするというのも不自然である。

 さらに不自然なのは、そのホテルが急に台風で大被害を受けることだ。それまで台風銀座の宮古でホームレスが巣食うような荒れた建物でも台風に被害を受けなかったのが、改装をして人が住んでいるのに台風でやられるというのは何とも不自然である。

 私が言いたいのは、幾らフィクションのドラマでも、それなりの自然な如何にもありそうなリアルさが要るということだ。ナンセンスドラマならいざしらず、少なくとも朝ドラでは納得のいく設定と筋書きが欲しい。

 毎日必ず出るセリフが、「おじいとお父さん」だが、なぜかおばあさんが写真にも出てこないのも不自然極まる。

 ことほど左様に、ご都合主義のドタバタ劇なのだが、藤田は「心を読む」禁じ手破りが新鮮だとか、男女の役割の描き方が伝統的な朝ドラの枠組みからすると新しかったなどと褒めている。

 山下は「視聴者がこまやかな感情を登場人物と共有し、自分の気持ちを発酵させていく過程こそが真骨頂なのに、そのプロセスまでもが壊されたのは残念だ」と語っているが同感である。

 山下はこうも述べている。「もっとも、唐突な刺激が繰り返される物語は、前後がない一発芸のお笑いに似ているし、情報が断片化している今の時代とは親和性があるのだろう」

 私は、今のコントや漫才などのお笑いには付いていけない人間である。若い人がお声をあげて面白がっているのに違和感を覚えるのだ。強い刺激にたよるのではなく、じっくりと感情が動かされるようなお笑いがいい。

 それと同じで、やたら刺激的でドタバタしているだけのドラマには閉口である。本来なら涙がでるべきシーンでも涙が出ないのである。

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コメント

 NHKの朝ドラと大河ドラマは、つまらなくても習慣的に見てしまいます。次の朝ドラは期待できるでしょうか。

ブログ子さんは忙しいさなかにNHKの大河ドラマや朝ドラをご覧になるとは素晴らしいですね。私はもう何年も連続ドラマの類は見たこともありません。外で見る映画もしかりです。読書はよくしますが、これも小説は殆ど読みません。テレビも読書も
専ら報道主体すなわちノンフィクションです。
でも現代や過去の人間生活の機微や葛藤を知るには
ドラマや小説を読むことは大変役に立ちますし娯楽性もありますね。バランス良く見たり読んだりすることも必要だとは思いますが、、、。

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